科学で斬るスポーツ

2014年8月21日

»著者プロフィール

 その証拠に、今年は初球からスプリットを多く投げている。大リーグでは初球から積極的に打ってくるバッターが多いのと無関係ではない。

 2ストライクと追い込んだ、投手有利な場面でもスプリットが目立っている。昨年は、こうした場面ではストレートを厳しいコースに投げていたとみられるが、今年はスプリットが多く、昨年のストレートがそのままスプリットに置き換わった形だ。早めに勝負球を投げ、球数を減らす狙いがあるとみられる。同じく1-1、2-2などの平行カウントでもスプリットと、ストレートの使用割合が日本時代と逆転しているという。

 こうしたスプリットの多投で何が起きたか。田中投手は、ある程度深くボールをはさみ、指の間からボールを抜く感じで投げている。ボールをリリースした瞬間、腕には急ブレーキがかかるが、フォーク(スプリット)はストレートより大きな力でブレーキをかけなくてはいけない。

 石橋さんは「フォークを多投する投手に聞くと、投げすぎると握力が落ち、手がむくむことがあったという。フォークを投げた時の肘には、ストレートより1.4倍も大きな力の急ブレーキがかかる(図9)。それだけ肘への負担が大きくなる。スプリットの多投は肘への負担を高めた要素の一つ」と強調する。

図9 直球とフォークボールを投げた時、肘にかかる加速度。ボールをリリースした後、フォークを投げた時の肘には、直球の時の1.4倍も大きなブレーキがかかっている(参照:車谷洋、村上恒二、「フォークボールと肘関節障害」、臨床スポーツ医学 19-4) 拡大画像表示

関連記事

新着記事

»もっと見る