科学で斬るスポーツ

2014年8月21日

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中4日の登板による疲労説も

 もう一つの要素と考えられるのは、中4日の登板による疲労の蓄積だ。田中投手は楽天時代、中6日で登板していた。この2日の違いは、休養の取り方、投球練習、筋力トレーニングなどの調整の内容、スケジュールに大きく影響する。

 ダルビッシュ投手が「中4日では肘の炎症がとれない。もっと間隔をあけるべきだ」と主張するのは、この投球間隔がいかに過酷であるかを示す悲鳴にも聞こえる。

 このほか、田中投手のフォームは、大リーグの固い、急傾斜のマウンドには向いていないという分析もある。

 下の写真は、このコラム「楽天・田中将大投手 25連勝 強さの秘密」で紹介したフォームである。

図10 楽天時代の田中投手のフォーム(提供:フェアプレイ・データ)
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 文句のつけようのないきれいなフォームであるが、松坂投手のけがの理由について解説した「ダルビッシュと松坂を科学する」でも触れたように、ステップ幅が大きく、重心が低く、体を前に送り出すフォームでは、大リーグの傾斜の高い、固いマウンドでは無理な姿勢で投げなくてはならない。肘への負担が大きくなってしまう。こうした大リーグのマウンドでは、ステップ幅を狭くし、踏み出した足を突っぱねるようして地面からの力(反力)を得て投球するのが理にかなっているのである。

 しかし、大リーグ入り後の田中のフォームには、ほとんど変化は見られなかった。「大丈夫かな」と思っていた矢先のDL入りだった。

 現在、リハビリ中の田中投手は、ビデオ映像を見ながらフォーム改造に着手した。従来のフォームでは肘への負担が大き過ぎると判断したのだろう。幸いヤンキースには、田中と同じような、重心の低いフォームから大リーグ型のフォームに見事修正した黒田博樹投手がローテンションの柱として健在だ。

 石橋さんは「目指すべき姿、目標が近くにあることは大きい。3年目のダルビッシュやシアトル・マリナーズの岩隈久志投手らも大リーグにあったフォームに進化している」と語る。

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