2026年11月9日(月)

巨大災害時代を生き抜く

2026年11月9日

 大規模な災害になるほど、場当たり的な対応では被害を抑えられません。災害対応は、事前防災をどこまで行うかにかかっています。

2026年9月、熊本県八代市。屋根の下が倒壊した建物(WEDGE、以下同)

――具体的にはどのような対策を行うのか。

大山 TKBB(トイレ、キッチン、ベッド、バス)など、スフィア基準を踏まえた避難所環境の整備や、自治体の要請を待たず国が主体的に被災地に物資を届けるプッシュ型支援を円滑に行うための防災用資機材や備蓄の充実を図っていくと同時に、女性や高齢者、子どもなど多様な視点を取り入れた支援も充実させていきます。

 一方で、物資を〝備える〟だけではなく、物資を効率的に〝運び、使う〟ことも不可欠です。物資を必要としている場所に、誰がどの経路で運搬するのかを一元的に集約できる「新物資システム」を活用して物資支援の効率化を図るとともに、日ごろから配送に携わっている民間企業のノウハウを最大限発揮できるような、官民連携の仕組みや訓練を実施できる体制も構築していく予定です。

 また、これまでの課題として、地域ごとに異なる災害リスクを有する中で、特徴に合わせつつ、地域の実情を踏まえた対策の立案ができていませんでした。今後は、科学的な知見などを活用したシミュレーションに基づき、災害に対する地域の弱部を定量的にあぶり出し、対策を実施します。

 その上で、インフラ整備などのハード対策や防災訓練などのソフト対策を、関係省庁などと連携しながら着実に進めていく必要があります。そのため、防災庁の発足のタイミングで、国民の皆様、地方公共団体、国の関係省庁に対し、「事前防災徹底のための緊急要請」を発出しました。今後は、それらのフォローアップを行うとともに、関係省庁に対しては防災大臣の勧告権も背景に、あらゆる関係者が連携して事前防災の取り組みを進めていきたいと考えています。

 ほかにも、防災大学校の設置等も検討し、体系的な防災人材の教育や訓練等の充実も図る予定です。

――すでに変わりつつある対策はあるのか。

大山 防災庁の発足を契機に権限強化や体制拡充が図られることになりますが、それに先立ち、これまでも防災庁設置に向けて、段階的に取り組みを充実させてきました。

 先ほどの関係職員の増員に関する準備では、「ふるさと防災職員」という専門の職員を設置し、47都道府県で、それぞれ個別の担当者を設けています。災害リスク評価や防災訓練の実施状況など地域における事前防災の支援だけではなく、令和8年熊本地震の際には、複数のふるさと防災職員が個別の避難所に足を運びダンボールベッドの展開作業をするなど、被災地支援の対応も行います。平時から地域と顔の見える関係構築をする「ふるさと防災職員」は2025年度から始まっており、防災庁設置に向けて新たに行った取り組みです。

JR八代駅近く。復興への道はまだ遠い

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