Diplomat誌は7月25日付で、Malabar演習に日本を招待するイニシアティヴをインドがとったことを評価し、インドがより多国間の取り組みに積極的になり、地域の海洋安全保障において指導的役割を果たすことに期待する、同誌編集者Ankit Pandaの論説を掲載しています。
すなわち、印、日、米により行われているMalabar演習は、アジア太平洋の民主主義陣営から、最も有能な3国の海軍が参加しているという点で、特筆に値する。演習は、中国にとっては、ライバル国が結束して封じ込めにかかったとしたらアジアの海はどうなるかを想起させ、心配の種となる。中国は、2007年と2009年には、もともと米印の2カ国演習と想定されていた同演習への日本の参加に抗議した。インドにとっては、Malabar演習は、正しい方向を示している。インドは、経済面では中国との関係を改善しているが、将来のアジアの海洋安全保障秩序に投資することが、インドにとり重要である。
Malabar演習それ自体は、幅広い戦略的協力に関するものではなく、災害救援、海賊対策、人道支援その他の任務におけるインターオペラビリティ(相互運用性)の向上などの、戦術的問題に関するものである。しかし、インドが、この種の多国間演習に真剣に参加することは珍しいことであり、Malabar演習は例外である。さらに、インドは、今年、日本を招待するのにイニシアティヴを発揮するという、正しい一歩を踏み出した。インドの海軍アナリストUday Bhaskar は、ニューデリーのイニシアティヴは、インドその他で、中国の行動への不安があるという、新しい戦略環境を反映したものである、と言っている。
Malabar演習の参加国は、中国封じ込めの意図ではない、と言うかもしれないが、アジア太平洋における現状維持を目指す、アジアの3つの主要な民主国家が演習に参加していることは、偶然の一致ではない。
インドは、Malabar演習の枠外で、その戦略的裏庭に当たるインド洋において、多国間演習の旗を掲げるべきである。アジアで2番目の大国として、インドは、太平洋において隔年で行われている、米国のRIMPACのようなやり方で、インド洋において多国間演習を主催し得る。インド洋における、インドのリーダーシップは、適切に発揮されれば、必ずしも、中国を脅かすわけではない。中国は、東シナ海、南シナ海における海洋権益に、より高い優先順位をつけるであろう。