中国の台湾へのサイバー攻撃が激化しており、台湾は、それに対し、国家安全保障上の脅威として懸念を強めている、とDiplomat誌のティエッツィ編集委員が、8月15日付同誌ウェブサイトで報告しています。
すなわち、カナダ、米国に続き、台湾が、中国によるサイバー攻撃を非難している。AFPは、台湾の張善政科技部長(科学技術大臣)が、「中国のサイバー戦部隊が台湾の部隊と、ほぼ毎日交戦しており、数カ月に一度、深刻な攻撃がある」と述べた、と報じている。
中国からのサイバー攻撃は、中国に対する台湾の政治的および安全保障上のポジションを測るものであり、台湾にとって、特に憂慮すべきことである。張部長は、「攻撃の多くが、台湾との交渉で用いるための情報を窃取することを目的としている」と述べている。
張部長は、攻撃は、ほぼ毎日行われており、しばしば、両岸交渉における台湾のボトム・ラインについての秘密情報をターゲットとしている、と言っている。張部長は、中国が、台湾を、新しいハッキング技術の実験台に使っている、とも指摘している。攻撃の多くは、比較的シンプルな「フィッシング」(注:悪意のあるソフトウェアをメールで送りつけ詐欺などを行う)であり、何千もの台湾の役人が、月に20~30通のフィッシング・メールを受け取っている。台湾のサイバー防衛の専門家は、攻撃は、中国の標準的な就業時間に行われている、と指摘している。
集中的なサイバー攻撃は、台湾に、憂慮すべきもう一つの脆弱性をもたらしている。馬英九総統が2008年に就任して以来、両岸関係は緊密になったが、中国は、台湾を統一するのに武力を用いる権利を諦める気配はない。今日、台湾の通常戦力は、ますます中国に劣るようになり、台湾の国防計画当局は、全面侵攻に耐えうる能力を維持するのに、大変苦慮している。
さらに、中国は、サイバー攻撃を、台湾のインフラを麻痺させることに使うかもしれないという懸念もある。昨年、台湾の国家安全局長は、立法院の委員会で、中国のサイバー攻撃は、情報を盗むだけでなく、次第に、インフラの破壊に焦点を当てつつある可能性がある、と述べた。全面的なサイバー戦争は、両岸のバランス・オブ・パワーにとり、新たな要素である、と論じています。
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サイバー攻撃を含め、台湾が中国からのスパイ活動の重要な対象地となっていることは、既によく知られています。台湾の科技部は、今年3月に発足した省級の組織であり、科技部長は、閣僚級です。したがって、馬英九政権として、中国の台湾に対するサイバー攻撃に懸念を示していることになります。また、台湾当局だけでなく、台湾にある米国や日本の代表機関も、中国からのスパイ活動(サイバー攻撃を含む)の対象となっていると考えるべきです。