一方、最近の日本の住宅投資では、消費税引き上げが大きな影響を与えている。住宅投資が高額で消費税もかさむため、消費税引き上げの影響が強く言われる消費支出の動きと比べて、引き上げ前の駆け込み需要も大きければ、引き上げ後の反動落ちも大きい(図表3)。
しかし、日本でも、住宅価格の年収倍率は他人事ではない。基準地価動向に見られるように、日銀の量的金融緩和政策に低金利などがあり、三大都市圏の住宅地価は底入れしている。しかし、とりわけ東京圏での住宅価格(含む土地、以下同)の年収倍率をみると概ね横ばい圏にあり、住宅取得能力や住宅価格の上昇余地が大きく拡大しているようには見えない(図表4)。
住宅投資を左右する将来年収
東京圏での住宅価格の年収倍率が概ね横ばい圏に止まっている要因は、住宅価格の上昇よりも賃金上昇の停滞にある。また、将来的に大きな賃金上昇が見込みにくいことも家計が住宅投資に慎重な姿勢を強める要因になっていると見ることができる。
逆に言えば、年収が現在および将来ともに上昇することになれば、住宅投資は増加し、住宅価格にも上昇余地が広がることとなる。とくに、住宅ローンは長期に返済するものであり、将来年収の増加をどれだけ見込むかが借入額の多寡に影響することになる。