11月4日、アメリカでは中間選挙が行われた。選挙前の予想どおり、共和党が上院で52議席を確保して過半数を獲得、下院でも議席を伸ばし、243議席を確保した。本稿執筆時点で、まだ結果が確定していない選挙区も若干、残っているが、オバマ政権の最後の2年間は上下両院とも共和党が多数党を占めることが決定した。
有権者は共和党を積極的に選択したわけではない
米国のメディアはもちろん、日本のメディアでも、今回の中間選挙の結果については「民主党大敗」を前面に出した報道が主流を占める。しかし、実は見落とされがちなのは、中間選挙は大統領にとっては負け戦になることが多いということだ。
カリフォルニア州立大学サンタ・バーバラ校が集積したデータを見ると、1934年以降、中間選挙の際に上下両院で議席を増やしたのは第1期ルーズベルト政権(1934年)と第1期ブッシュ政権(2002年)のみだ。1996年の大統領選挙で圧倒的勝利で再選を果たしたクリントン大統領でさえ、第2期の1998年に迎えた中間選挙では下院で5議席を増やしたのみにとどまっている。つまり、2期目に入った政権が中間選挙で負けるのは米国政治サイクルの中の必然であり、オバマ大統領率いる民主党は、今回の選挙では「負けるべくして負けた」ともいえるのだ。
特に、今年の中間選挙の行方を左右した大きな要因は、民主党が提示した個々の政策に対する反感というよりも、有権者の間に広まっている、既存の政治システムに対するいら立ちや怒り、将来についての漠然とした不安だった。
このような悲観的なムードの根底には、2008年に「変革」を訴えて当選したオバマ大統領が政権を発足させてからの6年間、有権者が期待していたような劇的な変化が感じられていないことへの失望といら立ちがある。国内では景気回復の実感は薄い。オバマ大統領が公約に掲げた財政再建も、移民制度改革も進んでいない。目に見える数少ない実績だったはずの「国民皆保険制度」も導入の手続きでつまずき、制度の効果を実感できるまでには至っていない。大学は出たものの就職もままならず、多額の学生ローンを抱えて、両親との同居を余儀なくされる若者も増えている。