2014年11月10日、2年5カ月ぶりに日中首脳会談が開かれた。習近平国家主席と安倍晋三首相の会談は初めてである。
この会談を実現するために、7日、楊潔篪国務委員と谷内正太郎国家安全保障局長の会談で、「4つの原則共通認識」が合意された。
2012年8月の日本政府の尖閣諸島国有化宣言以降、日中首脳会談が開かれることなく、中国が日本に対し厳しい姿勢をとってきた。そして『人民日報』をはじめとする公式メディアもそのことを伝えてきた。それが一転して日中首脳会談の開催となった。なぜ、中国は態度を変更して、日中首脳会談を開催したのだろうか。そのヒントを得るために、『人民日報』がこの日中首脳会談前後の動向をどう報道してきたのか見てみたい。
3面下側で報じた人民日報の抑制ぶり
【11月7日、楊国務委員が谷内国家安全保障局長と会談】
11月8日付『人民日報』は3面で、会談を次のように報じた。
「楊潔篪は次のように指摘した。周知の原因により、日中関係はいまだに深刻な困難の局面に直面している。ここ数カ月、両国は外交チャンネルを通じて日中関係の政治的障害を克服しようと度重なる協議を行ってきた。中国は厳正な立場を重ねて表明し、日本に歴史、釣魚島(尖閣諸島のこと―筆者注)など重大で敏感な問題を直視し、適切に処理し、中国と両国関係の改善、発展を共同で努力して進めるよう求めてきた」
両者が合意した4つの原則共通認識は以下のとおりである。(以下は日本外務省のホームページ http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page4_000789.html をもとに筆者が一部修正)
1 双方は,日中間の4つの政治文書(日中共同声明、日中友好条約、日中共同宣言、戦略的互恵関係の包括的推進に関する日中共同声明)の諸原則と精神を遵守し,日中の戦略的互恵関係を引き続き発展させていくことを確認した。
2 双方は,歴史を直視し,未来に向かうという精神に従い,両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干(中国語で「一些」)の認識の一致をみた。
3 双方は,尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し,対話と協議を通じて,情勢の悪化を防ぐとともに,危機管理メカニズムを構築し,不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた。
4 双方は,様々な多国間・二国間のチャンネルを活用して,政治・外交・安保対話を徐々に再開し,政治的相互信頼関係の構築に努めることにつき意見の一致をみた。