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World Energy Watch

2014年12月12日

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山本隆三 (やまもと・りゅうぞう)

常葉大学名誉教授

NPO法人国際環境経済研究所所長。住友商事地球環境部長などを経て現職。経済産業省産業構造審議会臨時委員などを歴任。著書に『電力不足が招く成長の限界』(エネルギーフォーラム社)など多数。

再エネ導入が可能だったスペインの特殊事情

 スペインの国土の形状は円に近い。送電線網も当然円状になっており、日本列島の送電網とは異なり不安定な再エネの電源を吸収しやすい形だ。それでも、再エネの導入量増加に伴い送配電のコストは上昇しており、05年から13年にかけ1kW時当たり60%増えた。この増えた額の一部も未回収費用になっている。送電線はフランス、ポルトガルに加え、北アフリカにも連携しており、再エネの電気が余った時には輸出も可能だ。

 14年上期のスペインの最大電力需要は2月27日に記録された4028万kWだった。一方、スペインの13年末の発電設備量は、その2.5倍の1億228万kWある。予備率は150%だ。日本の今年の冬の予備率は電力会社によっては3%しかない。スペインの発電設備には大きな余剰があり、凪あるいは突然の雨などにより再エネからの発電が止まってもどこからでも直ちに送電することが可能だ。

 スペインが大きな余剰設備を持つことになった理由の一つは、電力需要がリーマンショック以降の不況により低迷していることだが、効率の良いコンバインドサイクルの建設に対し政府により出された補助金も設備が大きく増えることを助けた。政府は余剰設備の縮小のために補填を行うことを決め、また余剰設備活用のためにフランスとの連携線を強化し電力輸出量を増やすことでフランス政府と合意した。

 送電線の形状と発電設備の余剰の状況から、スペインは再エネの導入が容易な国だ。報道ステーションが伝えるように、送電線の形状も余剰設備量も異なる日本で、発送電を分離すれば再エネ導入量を増やせるという単純な話ではない。送電線の増強には多額の費用が必要だ。

地産地消で雇用と産業創出は本当か

 再生可能エネルギーを導入することにより地域の電力需要を賄い、地域で雇用を創るともよく主張されている。その実例も報道ステーションでは取り上げていた。スペインのカナリア諸島で、風力と蓄電機能のある揚水発電を組み合わせ再エネだけで島の電力を賄うことができるようになる話だ。

 風量が多い時に、余った電気で下池の水を上池に揚げておき、風が吹かないときには上池の水を落とすことにより発電を行うシステムだ。地産地消だが、このシステムの発電コストについては、全く触れられていなかった。高いからだ。

 送電線が他と繋がっていない離島では、ディーゼル発電などを行うのが普通だ。燃料消費量が多くないことから、大量輸送が前提になる天然ガスあるいは石炭を利用する発電設備の設置は難しく燃料の選択肢は石油系しかない。石油系の燃料を使い小型の発電機で発電を行えば、そのコストは高くなる。1kW時当たり30円から40円はするだろう。風力と揚水の組み合わせの発電コストも高いが、同レベルだろう。

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