広場には6棟の建物が建ち、ブース形式に区切られた店舗で組合員がそれぞれに仕入れてきた品物を売る。6棟のうち3棟は、カナダ政府の援助でできた。残りの3棟は協同組合が助成金を原資に自前で建てた。復興ブームによる建築価格の上昇で、組合も8000万円の借金を背負った。
そんな、リスクを取って復活させた朝市に、地域の人たちの支持が集まった。13年秋のグランドオープンには1万7000人が詰めかけたのだ。メディアにたくさん取り上げられたことも宣伝になった。
震災前に51人だった組合員は震災直後には31人まで減った。被災して廃業に追い込まれる人が出たのだ。だが、その後、朝市の活況とともに、新しい仲間が加わった。現在では組合員は48人だ。
「店によってばらつきはあるが、震災前の1.5倍から2倍の売り上げになった」と櫻井さんは語る。昨年12月には年末市を開催したが、4日間で600万円以上を売り上げた店もあったという。大成功を収めているのだ。
「せっかく来てもらうのだから楽しめる場所にしないと」と語る櫻井さんは、次々にアイデアを実現させてきた。
すっかり人気イベントとして定着したのが「競り市」だ。
競り市の様子
「3000円の新巻サケ2人限り、1500円!」
そんな櫻井さんの掛け声に、集まった客が番号が書かれたウチワを一斉に挙げる。
「はい34番と56番」
番号が呼ばれれば商い成立だ。各店が出品した目玉商品がほぼ半値で売れていく。