田畑教授は、「自転車こぎなどのタバタトレーニングにより乳酸に耐える力がつき、最後までしっかり滑ることができるようになったのではないか」と強調する。
過去には、長野五輪スピードスケート(1998年)で金メダルに輝いた清水宏保さんも、五輪に向け、このタバタトレーニングを継続的に実践していた。「当時、タバタトレーニング『20秒10秒』と呼んでいた。明らかに持続性が上がった」と話している。
震災による運動不足にも効果
タバタトレーニングは、岩手県大船渡市立第一中学校の中学生58人でも効果が実証された。彼らは、中学校の運動場が東日本大震災によって被災した住民らの仮設住宅用地となったために、体を動かす機会が減り、運動不足となった。
そこで、立命館大のグループが、2012年2月から6月まで、中学生向けにタバタトレーニングを改変し、「狭い場所でも効率よく運動できる」プログラムを中学生にやってもらった。
(田畑教授提供)
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その結果、トレーニングの前後で柔軟性、持久力、筋力の体力テストを実施したところ大幅な能力向上を確認した。そのデータが右図である。女子の柔軟性、男子の筋力向上は著しいことが伺える。
現在、タバタトレーニングは世界のフィットネスクラブで実施されている。TABATA ProtocolをDVDなどで世界に普及させる試みが、進められている。
少ない時間で、効果を上げたいスポーツ選手や俳優などの間でも広く行われている。
新しいスーパーマン役となった、イギリスの俳優、ヘンリー・カヴィルも役作りの肉体改造に少ない時間で効果のでる、TABATA Protocolを実践したとされる。
田畑教授は、「最大酸素摂取量の高い人は糖尿病になる確率が低いとされる。タバタトレーニングは有効であるが、普通の人が高強度の運動をいきなりやるのは難しい。強度を低くしても効果がある可能性がわかってきており、そうした成果を出して、広めていきたい」と話している。
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