2023年2月6日(月)

科学で斬るスポーツ

2015年7月7日

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玉村 治 (たまむら・おさむ)

スポーツ科学ジャーナリスト、科学ジャーナリスト

小学校より野球をはじめ、大学では投手として活躍。スポーツを科学的に分析することを得意とし、バンクーバー、ロンドン五輪、ワールドカップサッカーなどで取材。

有酸素系と無酸素系 双方に負荷かける

 タバタトレーニングの原理を詳しく説明する前に、まずは、有酸素系と無酸素系とはどんなものか紹介しよう。

 有酸素系は、簡単に言えば、長い時間を動かすマラソンなど持久力につながるエネルギー供給である。空前のマラソンブームが熱を帯びているが、有酸素系を向上させることが「サブスリー」(マラソンで3時間を切る)の仲間入りになる秘訣である。

 なぜ有酸素系というかというと、エネルギー源となる炭水化物や脂質を燃やすのに酸素が必要だからである。摂取する酸素が多いと当然、エネルギーも大きくなる。体に酸素を摂取する能力の高い人ほど、有酸素系は優れている。

 この有酸素系の能力を示す指標の一つが、「最大酸素摂取量」。1分間で、体重1キロ当たり、どのくらいの酸素を摂取できるかというものである。5000メートル走のタイムは最大酸素摂取量の多寡との相関が高く、「競技成績の50%を決める」(田畑教授)という。

 有酸素系を鍛えるトレーニングはエアロビクス、ジョギングなどがある。

 一方、無酸素系は、100メートル走など、瞬発的なパワーにつながるエネルギー供給系で、(1)クレアチンリン酸とADP(アデノシン二リン酸)からクレアチンと、エネルギーのもとになるATP(アデノシン三リン酸)を作る(2)体内に蓄えられたグリコーゲンから乳酸とATPを生み出す、の二つの流れがある。

 運動は同じ速度で行った時、必要とされるエネルギーは同じ。しかし、有酸素系が、フル回転で動き出すには、ある程度の時間がかかる。その間、エネルギーを供給するのが無酸素系だ。800メートル走など2分くらいまでの短距離走などはこの無酸素系が優位とされる。

 無酸素の指標として「酸素借」がある。簡単に言えば、不足した酸素量。運動を開始したときに必要とされる酸素需要量から、そのときに摂取した酸素量を引いた値である。2分から3分程度で疲労困憊に至る運動で観察される酸素借の最大値が「最大酸素借」。この最大酸素借が高いほど、選手のパフォーマンスはよいとされ、個人差がある。


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