子供とともに成長すると同時に、親にも楽になってもらいたいなという思いもあります。「子供のことはすべて親の責任」と言われたり、「子供がいい大学に入れるかどうかは、お母さんの責任」なんて言われたりもします。親が子育てに責任を感じなくてはならないことはもちろんありますが、親が責任を感じることを少しでも楽にしてあげたいなと思ったのです。
大人だって、親だって、まだまだ未熟だし、成長過程にあるのですから、子供の前で完璧である必要はない。時に弱みだって見せていい。そういう親の気持ちを楽にして応援したい。特にお母さんなどは一生懸命になっちゃって、かえって子供にプレッシャーになったりする。「お受験」などといわれたりして。もっと肩の力を抜いてもいいんじゃないでしょうか。子供が離れて、場合によって夫婦だけになったりした時に、親は親で自分の人生をこれから先どう生きてゆくかも重要です。多くの会社でも自分が定年を迎えて、ここから先の自分の人生をどうするか。仮に金銭的になんとかなったとしても、気持ちの上で何が幸せなのか。考えることは大事です。
親子の関係といえば、本書で「親子の関係は、どちらかが死ぬまでずっと続く」と書きました。親子関係は一生続き、仮に夫婦が離婚したって親子の関係はずっと続く。そしてそれはいつまででもいい関係を築くことができる。
「14歳までに」と書きましたが、それにこだわるということではありません。大人同士になった親子だって、何かあってもいいと思います。実は書いた後、死んだ後も続くと思い直しました。「おやじは生きていた時、こんなこと言ってたよな」などと気付くことってあるじゃないですか。自分が成長することによって、実はもう亡くなった相手から学べること、気付くことはたくさんあると思うんです。親子の関係は死んだ後も続く。お互い学びあえる関係はずっと続くのだと思います。
――最後に、最近の司法試験の状況をどのように見ていますか。制度の変化も大きいようです。
現場の受験生は本当に気の毒だと思いますが、変化に振り回されて欲しくないと思います。法律家は自分の信念をもって、ゴールに向かってやりたいことを淡々と進めてゆく。情報の価値について、気にすべき情報と、気にする必要のない情報を峻別する能力も、いい法律家になるためには求められている。制度が変わろうが、変な雑音が入ってこようが、自分なりのモノサシがあって、明確な方法論さえあれば、周囲がどう騒ごうと関係ありません。もっといえば、制度の変更は、変化に対応できる力をトレーニングする試練として与えてもらっていると前向きに受け止め、変化をチャンスとして捉えて欲しいと思います。
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