World Energy Watch

2015年8月18日

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石油、石炭のような化石燃料を燃焼させると窒素酸化物、硫黄酸化物が発生し大気汚染の公害問題を引き起こすことは知られているが、1980年代になり燃焼により排出される二酸化炭素が地球を温暖化させている可能性が注目され始めた。燃料の環境性能が大きな要素になってきた。

 福島第一原子力発電所の事故以降は、安全性も要素の一つとなり、経済性、安全保障、環境性能、安全性を考慮し、燃料を選択することになった。原発の再稼働が不要という意見は、このうち安全性のみを考えたことからでてきたものだろう。電源の最適構成を考えるにはそれでは不十分と言わざるを得ない。川内原発が再稼働した九州電力を例に問題を考えたい。

電気は足りているのか

 川内原発が再稼働するまで、この夏原発からの電気は全く供給されていなかったが、電気は足りていた。だが、かなり無理をして供給力が確保されているので、停電を避けることが可能だったのだ。無理の内容は二つある。一つは、老朽化した設備の稼働率をあげていることだ。もう一つは、コストが高いため本来稼働率を抑えなければいけない設備の稼働率を上げていることだ。

 図‐2は、九州電力の東日本大震災前と後の火力発電設備の稼働率を示している。原発の稼働が停止してからは、火力の稼働率が当然上昇している。

 震災前には夏場の最需要期を除きほとんど使用されていなかった石油火力の稼働率も上がっているが、石油火力の運転開始時期は表-1の通りだ。

 昭和のプラントしかないが、9基のうち5基が70年代前半の運転開始。実に40年以上使われている。今後長期間使えるプラントではない。建て替えれば、コストが上昇し、電気料金が上がる。

 今年の夏の九州電力の最大電力需要を賄う供給力の内訳をみると、揚水発電が活用されている。揚水発電は夜間の電力需要が低い時にポンプで下池の水を上池に揚げ、電力需要が高い昼間に水を落とし発電する仕組みだ。

 大型蓄電池のような設備だが、大きな設備投資が必要な割に稼働率が低くなることから発電コストは高くなる。原発が稼働していれば夜間原発の安い電気(発電コストが安いことについては後ほど説明する)で水を上に揚げることが可能だが、今は夜間に燃料を余分に使用しコストの高い火力発電で水を上池に揚げていることになる。

 揚水の利用は可能な限り抑制しないと電気料金の上昇につながるが、夏場にはコストが高い揚水を準備しなければ電力需要を賄えない状況にあるのだ。例えば、8月16日の九州電力の供給力1333万kW(うち自社分1089万kW)のうち183万kWが揚水発電だ。

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