World Energy Watch

2015年8月18日

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 老朽化した設備とコストが高い設備を利用し、夏場の需要を満たす状況をいつまでも続けることはできない。

安全保障の強化は不要か

 オイルショック時一次エネルギーの4分の3を石油に依存していたが、石油から他のエネルギーへのシフトを行った結果、2010年度には、石油の比率は40%を切るまでになった。しかし、原発の停止により石油への依存度は上昇し、13年度は約43%となった。さらに、天然ガスの比率も震災前との比較では約5%上昇し、24%となった。

 石油の約85%、天然ガスの約30%は中東から輸入されている。即ち、全エネルギーの44%は中東から供給されており、この大半はホルムズ海峡を経由し輸送が行われている。高い中東依存率を引き下げることが安全保障強化になることは言うまでもなく、そのためには、原子力の利用による化石燃料依存度の引き下げが必要になる。

原発のコストは高いのか

 今年6月に発表された2030年の電源構成を考えるために、電源コストの試算が政府の委員会で行われた。原発の発電コストは10.1円以上(2014年モデルプラント)とされ、電源の中で最も低コストであるものの、石炭火力の12.3円以上に近い数字だった。原発のコストには廃炉などの様々なコストが含まれていないと誤解があるが、核燃料の処理費用、廃炉費用、立地交付金、もんじゅの研究開発費用、事故処理費用、追加で必要な安全対策費まで必要な費用が全て含まれている。もちろん、ある想定のもとでの数字なので増減はあるだろうが、現時点で最もありえる想定に基づいている。

 それでも原発のコストが安いのは、設備投資などの初期投資が必要なものの、運転するための費用が他の電源より安いためだ。初期投資が大きいが、既にこの費用は既存の原発については使用された資金であり、稼働に関係なく必要な費用だ。要は、原発は建設すると運転に拘わらず費用が掛かるが、運転のために追加で必要な経費は小さい。核燃料サイクル費用1kWh当たり1.5円、追加的対策費0.6円が主な費用だろう。 

 一方、火力発電所の建設費は原発より相対的に安いが、燃料費は高くなる。今年1月から6月の輸入実績に基づく石油、LNG(液化天然ガス)、石炭の1kWh当たりの燃料費を表‐2が示している。原発を停止しても削減可能な費用は小さいにもかかわらず、火力発電所の運転により必要な燃料費が増加したことから、電気料金は図‐3の通り、震災後全国平均で、家庭用が25%、産業用が38%値上がりしている。エネルギー白書によると、純増の燃料費は14年度で3兆4000億円だ。この一部を電力会社が吸収したが、14年度の国民負担は震災前との比較で2兆9000億円増加している。

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