2024年12月23日(月)

WEDGE REPORT

2015年9月4日

ダウ平均、18回目の大幅下落

画像:iStock

 ダウ工業株30種平均(以下ダウ平均)が終値ベースで過去最高値を付けたのは5月19日のことである。このときダウ平均の終値は1万8312ドルであった。最高値を付けた後、ダウ平均は8月18日の1万7511ドルに向かって右肩下がりに低減、翌19日から21日までの3日間で1051ドル下げ21日金曜日の終値は1万6459ドルであった。最高値から10%の下げである。 最近の最高値1万8312ドルから10%の下げはテキストブックにあるマーケット・コレクション(株価調整)の定義にぴったりあてはまる。

 株価調整期に入って第一日目の8月24日、ダウ平均は午前中に瞬時1,089ドルの下げを見せたが午後には回復、一時は前週末の終値16,459ドルと同じ値を付けた、が結局588ドルの下げで月曜日の取引は終わった。驚くことはない、場中1,000ドル超の下げは今回が初めてではない。

 1987年10月19日のブラックマンデーから2015年8月24日のただのマンデーまで1万日が過ぎたが、この間、実際に取引があったのは7086日である。この7086回の取引日のうち場中1000ドル超の下げを見せたのは8月24日で3回目である。ただ、今回の1089ドルは過去3回のうち最大の下げ幅となった。

 8月24日、ダウ平均は588ドル下げの1万5871ドルで終わったが、1日500ドル程度の下げで驚くことはない。1987年10月のブラックマンデーから今回のただのマンデーまで1日500ドル超下げた日は18回、反対に1日500ドル超上げた日は3回ある。計算上1日 500ドル超の下げは400日に1回、500ドル超の上げは2360日に1回起きていることになる。滅びに至る門が広いとはこのことである。

冷静、沈着の個人投資家

 401KやIRA(個人退職口座)など個人年金制度で他国に先んじているアメリカの個人投資家は世界最大の投信保有者である。投信とETFを保有する個人投資家は9000万人を数える。投信とETFの時価総額は17.8兆ドル。このうち7.5兆ドルはアメリカ国内の株式に投資した株式投信と株式ETFの時価である。

 換言すれば投信とETFを保有しているアメリカの個人投資家9000万人の大多数は株式投信と株式ETFを介して時価19.8兆ドルの米株式市場の38%を牛耳っていると言うことになる。これだけ株式投資にコミットしているのにアメリカの株式投信と株式ETFの保有者はダウ平均がピーク時から10%以上沈下しても冷静である。2008年のリーマン・ショックで得た教訓がアメリカの個人投資家をして沈着、冷静たらしめているのだ。


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