2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2015年10月14日

ハイレゾ対応機器に対する曖昧さ

2015年発表の新製品に対するスタンスを語る同社代表取締役社長/松下和雄氏

 ハイレゾ音源とハイレゾ対応機器に対する定義は曖昧でオーディオメーカー各社バラバラでいいのか。そんなもやもやに対する回答が、2014年3月にJEITA(電子情報技術産業協会)発表の「PCM音源におけるハイレゾの呼称について」の定義付けである。内容はCDのスペック、44.1kHz/16bitを超えるものを全てハイレゾリューション・オーディオと呼ぶことだ。ここでちょっと面倒なのが、再生周波数帯域を決めるサンプリング周波数44.1kHzだけでなく、情報量を決める16bitだけが、CDを超えていればいい点で、例えば44.1kHz/24bitもハイレゾ音源となる。この場合、高域の再生限界はCDと同じ20kHzになるため、必ずしもハイレゾ対応機器が40kHzまで再生できる必要はない。 

左下がパナソニックのハイレゾロゴ、右上が日本オーディオ協会が推奨しているソニーのハイレゾロゴマーク
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 すると同年6月に日本オーディオ協会がハイレゾの定義と同時にオーディオ業界全体で使用できるハイレゾロゴマークを発表した。日本オーディオ協会は民生用機器では96kHz/24bitに対応したものをハイレゾ対応機器と定義した。スピーカー・ヘッドフォンの高域再生性能40kHz以上が再生可能であることも組み込まれた。さらに聴感評価という項目も加わった。これはハイレゾの基準を満たせば高音質とは限らないので、聴感評価委員会で該当製品が認証されていることという条件だ。しかし、日本オーディオ協会に聴感評価委員会はなく、各社の評価基準に基づくという曖昧模糊としたものなのだ。音源のハイレゾ基準に関しては、JEITAやレコード会社の判断に準じるという。この時点でハイレゾの定義はダブルスタンダードになったのだ。また、聴感評価の設定より日本オーディオ協会が製品スペックと音質は別物という見解をあきらかにした。 

カートリッジも生産するオーディオテクニカは、ハイレゾと同時にアナログにも力を入れるという

 日本オーディオ協会が発表した推奨ロゴマークはソニーが作ったものをそのまま流用したことにも一波乱あった。このロゴの付与対象はオーディオ協会会員企業の製品であり、協会の定める定義を満たすものとなっている。つまり海外ハイエンドメーカーの製品は対象外、さらに国内大手メーカーのパナソニックもこれに反発して独自のハイレゾロゴを作成して使っている。早くもハイレゾロゴのガラパゴス化、形骸化が懸念される。


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