昭和49年(1974)、中国・陝西(せんせい)省で出土し、考古学上20世紀最大の発見となった兵馬俑(へいばよう)。始皇帝の陵墓の近くに埋められていた陶製の軍団・兵馬俑は約八千体に上り、今もなお発掘調査が進められている。このたび、兵馬俑とともに、始皇帝と秦(しん)王朝をテーマにした展覧会「始皇帝と大兵馬俑」が開催される。
会場には秦王朝にまつわる多数の出土品を展示。辺境の小国にすぎなかった秦が天下統一を果たして大国になるまでの軌跡を紹介するとともに、度量衡や貨幣の統一、インフラ整備にまつわる出土品や、宮殿の壁画、建材の断片などから、始皇帝の実像に迫る。
兵馬俑の展示では、片膝を立てた姿勢の「跪射(きしゃ)俑」、弓に矢をつがえた「立射(りっしゃ)俑」、重装備の鎧(よろい)をまとった「軍吏俑」、軽装備の「歩兵俑」、丈の長い、房飾り付きの鎧を着用した「将軍俑」など、階級や役割によって異なる姿に造られた兵士の像を鑑賞することができる。始皇帝が愛用した馬車を青銅で細部まで再現した模型の「銅車馬」(複製)も出品される。
秦時代・前3世紀 秦始皇帝陵博物院蔵 ©陝西省文物局・陝西省文物交流中心
圧巻は、兵馬俑が整然と並ぶ、発掘現場の兵馬俑坑をレプリカで再現したコーナー。絶対的な権力を手中にした始皇帝が築いた「永遠の世界」の一端に触れられる。
特別展 始皇帝と大兵馬俑
<開催日>2015年10月27日~2016年2月21日
<会場>東京都台東区・東京国立博物館 平成館(山手線上野駅下車)
<問>☎03(5777)8600
http://www.tnm.jp/
*情報は2015年9月現在のものです。料金・時間・休館日などの詳細は、お出かけの際、現地にお確かめください
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