米戦略国際問題研究所(CSIS)のコーデスマンが、同研究所のウェブサイトに9月23日付で掲載された論説において、シリアへのロシアの介入の実態を紹介するとともに、米・ロ衝突も予見されるなか、米はロシアについての考え方を再考すべきである、と論じています。
すなわち、プーチンはシリアでのロシアの軍事的役割を次の通り拡大している。
* タルトゥスのロシアの港湾施設の海軍基地強化とラタキアの南の飛行場の空軍基地化、
* SU27戦闘機(3-4機)・SU24戦闘機(12機)・SU10支援戦闘機(12機)・無人航空機の配備、
* 高周波信号・通信車両の提供、新型大砲(数は不明)の提供、
* 6台以上のT-90戦車と35台以上の戦闘車両その他の提供、
* 2000人の兵士用プレハブ住宅建設、
* 地上配備SA-22防空システムの配備(数不明)、
* 200人の海兵隊員の派遣とアサドの家近くでの1500人以上の住宅建設。
ロシアは冷戦時代の1971年、シリアに小さな海軍基地を取得し、海軍部隊も駐留させていたが、1991年以来、プレゼンスを縮小した。シリア内戦でロシア海軍は意味のある役割は果たさなかった。ロシアのシリアへの兵器供給も新しい事ではなく、シリア軍の兵器はほぼ全部ロシア製である。ロシアは内戦でアサドを支持、2011年以来その延命を助けてきたが、シリア政府は優秀な武器があったにもかかわらず、支配地域を失い続けた。
いま世界が注目しているのはロシアが空軍基地を作り、支援戦闘機を配備し、シリア内戦に活発に介入しようとしていることである。これは米国やその連合軍のIS空爆に挑戦する能力になりうる。シリアに飛行禁止地帯を作る妨げにもなる。
プーチンは2008年、ポーランドへのMD配備、ジョージア侵略での西側との関係悪化に対抗して、シリアでの海軍基地強化を示唆した。今回のロシアのプレゼンスはアサドの延命、反対派の妨害のほかに、米国やその同盟国の空軍力使用に影響を及ぼす問題である。