2024年11月24日(日)

Wedge REPORT

2015年10月30日

 これは先述の『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』でも書かれていることで、池上氏は、コーチも含めた大人が大きな声で叱りつけることのデメリットを説いている。ちょうどこの本を読んだところだった私は、山口さんに『読んだことあるんですか』と聞いたのだが、「サンガの池上さんもそんなことを言われてるんですね。嬉しいな」という返事が戻ってきた。全て自らの体験で得られた言葉だったのだ。

 小学生低学年くらいまでの小さな子どもたちにとっては、特にママが応援してくれていることは嬉しいことである。自己肯定感を育むためには、自分の好きなサッカーをママも好きだということは、間違いなくプラスになる。

 「試合を見ていても、子どもが上手くなっていることや成長を感じることができるんです。『今日はこれができたね』といいことを見つけられる。それを伝えることができる。今まではできていないことばかり目について、大きな声で叱ってたのが恥ずかしいくらいです」

家族でサッカーを楽しむ一日

 今回のイベントには大会もあったことからチームで参加した子どもが多かったが、家族単位での参加も見受けられた。兵庫県三田市から来た平田さん家族は、お母さんがフットサル場で見かけたフリーペーパーをきっかけに参加した。母子でチームを組みんだ2vs2のミニゲームでは、裸足で天然芝の感触を味わいながらサッカーを楽しんだ。小学3年生の世陸(せり)くんは「いつもは靴を履いてるからボールを蹴っても痛くないけど、今日は裸足だったから、足の裏を使ってやってみた。お母さんにもオレがボールの止め方を教えてやった」と考えてプレー。最後に「お母さんとサッカーできて楽しかった」と大きな声で教えてくれた。

ノルウェーのサッカーバラエティTV番組で誕生した「バブルサッカー」は、技術に関わらずみんなで楽しめるサッカーとして日本でも話題の新スポーツ。子どもたちは何度も転がりながらもボールを追った。(写真:サカママ提供)

 神戸市の山本さん家族はまだサッカーチームには入っていないが、サカママイベントの後にはヴィッセル神戸を応援しに行くサッカー大好きファミリーである。お父さんは「サッカーをやらせてあげたいんですが、下の子の関係で今は難しくって、イベントだけでもと、今日来てみました。ゲームをしている姿を見ても、素人のわりには頑張ってると思いましたし、早くチームでやらせてあげたいと思いますね」とバブルサッカーで、娘さんが転ぶ姿を微笑みながら見守っていた。

 小学1・2年生の女子を対象としたサッカー教室では、地元のINAC神戸レオネッサから選手が5名参加。仲田歩夢選手は「やっぱり、サッカーを楽しんでもらうことが一番です」と開始前に話してくれた。

 「サッカーが楽しいってことが長く続けていける秘訣だと思うんです。今回は低学年の女の子だし、友達に会えるからっていうくらいの感じでもいいと思うんですよね」

 サッカー教室はうつ伏せになった相手をひっくり返すゲームをペアやチームで行ったりと、体を大きく使い、触れ合うウォーミングアップからスタート。ドリブルやボール集め競争の後、全員でゲームを行った。「点を取ったらみんなで喜こぼうねー」と声をかける仲田選手。チームが負けていると自らドリブルでチャンスを作るなど、サッカーを全員で楽しむ様子に見守る大人からも笑顔が溢れるサッカー教室となりました。


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