地域おこし協力隊
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今の彼女の肩書は、『地域おこし協力隊』である(→詳しくは5頁目・注釈参照)。
総務省の制度にのっとって、全国の市町村が“町”で働く人を募集する。任期は1年から最大で3年。選ばれた隊員は、町の仕事に携わり、その間に定住の準備をする。月収は16万円程度。住まいや仕事や移動手段は、それぞれの町が用意する。
多恵さんは、「年収400万円で好きな書く仕事のできる正社員」と言う立場を捨てて、「年収200万円で地方に住み、3年先の仕事は不明」という道を選んだのだ。
しかも、決めた時点でも、今も、「貯金も資産も、ついでに結婚する予定もない」という。
不安はなかったのだろうか?
飲んでもお金はかからない
「そうですね。月収は16万円ほどですが、家賃は払わなくていいですし、車もガソリン代も、町から支給されています。食費も、こちらのみなさんは家で食べるのが普通なので、東京いたころと比べると減りました。今は毎日飲んではいますけど、ご飯を食べてから飲みに出かけますし、飲み代自体も、町中で飲む分は、月に1300円ほど出している“寄合費”から出るので、ほとんどかからないんですよ」
住んでいるのは、職場まで車で20分ほどの一軒家。
東京の人が聞いたらさほど遠い印象はないのだろうが、田舎で「車で20分」というのは結構な距離である。
「本当はもっと町中に住めたら良かったのでしょうが、貸してくれる人がなかったんですよ。空き家はたくさんあるんですけどね……」