今年10月10日、日本で発売された新型ロボット掃除機、ルンバ980。今までのロボット掃除機とは一線を画し、次のステージに入ったと言うべきレベルの製品です。どこが今までと異なるかというと、「頭脳」。i-Adapt 2.0ビジュアルローカリゼーションと呼ばれるこのプログラムを搭載したルンバ980は、今までできなかった、同一平面上の部屋なら(階段がなければの意です)、全部屋掃除してくれます。吸引システムは800シリーズで実績あるエアロフォースクリーニングシステムで、吸引力の高い逸品です。
今回、ここまでスゴくなったルンバが、次にどんな方向へ行くのか、プロダクトマネージメント ディレクター、ケン・ベゼドーラ氏(以下ケン)、シニアバイスプレジデント、クリスチャン・セルダ氏にインタビューしてみました。
日米ロボット論
クリスチャン・セルダ氏(家庭用ロボットの責任者)
Q まずロボットの概念から明らかにさせて頂きたいと思います。iRobotでいうロボットとは、どんな意味なのでしょうか?
A 私たちの場合「ロボット」とは、人間の省力化のデバイスのことです。そしてロボットは、人間を上回ることはありません。人間の従属者です。ただ、それ以外の定義は、時と場合により変わります。ルンバは床掃除に最適な対応をするために、形態、自律性、知性を持たせています」
Q 日本では、「鉄腕アトム」というマンガがあり、人型ロボット、しかも汎用のロボットがロボットのイメージとして使われています。これとは違うわけですね。
A 鉄腕アトム? おー、「アストロボーイ」のことですね。iRobotが目指しているのは、アストロボーイではありません。iRobot社のルンバは「床掃除」という明確な目的を持っています。これは、映画「スターウォーズ」に出てくるデス・スターの案内ロボット(四角型のロボットで、人の先をちょこまか走るタイプ。チューバッカに威嚇されて逃げ惑うシーンで有名)と同じです。
このやりとりは非常に楽しかったです。鉄腕アトムでもそうですが、日本の場合、人間の代理としてロボットは考えられています。このため、非常に曖昧な部分があります。
それは「何に使えるのか?」ということです。それは、「人が何の役に立つのか?」「何故生まれてきたのか?」という根源的な質問につながり、ロボットアニメの一つの主題をなすわけです。
ちなみに「ロビ」の生みの親 高橋智隆氏 はセミナー中、「ロボットは役に立たない。だからロボットの役割はコミュニケーションだ。」と発言され、深く頷いた記憶があります。ところが、彼らの考え方は違いますね。あくまでも「自動掃除機」なのです。極めてドライです。掃除機としての進化を認めても、それ以上の知性は不要と言うわけです。モノはモノなのです。しかし、スターウォーズの案内ロボット。形、色は違いますが、ルンバのイメージがありますね。