2024年4月27日(土)

WEDGE REPORT

2015年12月10日

 現在、『This is a Pen』は、佐藤さんの暮らす湊町地域に加え、金華山黄金山神社の復興・再建活動をメインとしている。石巻の中心街から車で1時間ほど進み、さらにフェリーに揺られること30分。日本三大霊島と呼ばれる金華山には、3年通い続ければお金に困ることはないと伝えられているパワースポット『黄金山神社』がある。金華山は震源から一番近い島で、鳥居や石畳、灯籠などが崩れてしまい、資材や重機を使い再建する必要がある。しかし、孤島のためサポートが難しく、復興支援も遅れており、人力でゆっくり進めていくしかないのが現状である。

1200年以上の歴史がある金華山黄金山神社。「地域の方の心のより所になっている場所だからこそ、金華山を復興させたい」とShogoさんは語る。土木作業が多いので、フルフェイスのヘルメットをかぶり顔のケガには気をつけている。「ボランティアも仕事ありきなんで」とShogoさんは笑う (写真提供:This is a Pen)

 「2年半前から金華山黄金山神社の復興作業を行っていますが、これからもこの活動を継続していきたいと思っています。今までやりくりしてきましたが、今後もずっと続けていくためには資金が不足しています。私たちが行かなければ、神主さんと77才のおじいちゃんとがたった二人で神社の復旧作業を行っているような状況です。私たちの活動をより多くの人たちに応援してもらいたいと、今回クラウドファンディングに応募しました。

 金華山でも最初はやっぱり距離がありました。それも回を重ねるたびに、神主と一般の人って関わりじゃなくなってきました。先日行った時には、お祭りの前日の集まりに招待されたんです。普段外部の人を入れるような集まりじゃないところに招かれて、神主さんから『毎月復興を手伝ってくれているから、希望が持てるようになりました。感謝しています』って言われて、お酒を注いでくれて。今、島を訪れる観光客も増えています。多くの人の力をかりて、この島の復興をさらに進めていくことができたらと思っています」

 Shogoさんが所属するモデル事務所の代表左右田謙氏はこう語る。「近年のモデル業は外見だけで成り立つ職業ではなく、人としての魅力があってこそ需要があるのだと、そうあるべきだと思っています。僕自身も現地へは一年くらい通いましたが、今はShogoの純粋な活動を邪魔しないようにと控えています」。今、Shogoさんがやっている金華山でのボランティアは、土木作業が多く、体を資本としたモデルにとって、ケガの可能性というリスクを伴うものである。しかし、左右田氏は言う。「『現地へ足を運ぶことが自分にとってどんな意味を持つのか』を考えた時、実は人のためにしているはずなのに、それが自分にもプラスとして返ってきているように感じました。その気づきがあることで、モデルとしての歩み方にも少なからず影響があるように思っています。もちろんケガの心配はありますが、事務所の代表としてではなく、一人の人としてShogoの活動を応援していきたいと思っています」

自然体のままでボランティアを続けている『This is a Pen』のメンバー、現地で指導的な役割もしてくれている三上さんととともに、金華山の復興を目指す。「目に見える形で復興を手伝い続けます」 (写真提供:This is a Pen)

 「僕たちは今まで、とにかく出会った人の力になりたい一心でやってきました。佐藤さんたちのために水産工場を復興させたかった。金華山では、神主さんや77才の三上さんが復興させたいって強く思っているからサポートしたいと思った。彼らの覚悟に感銘して、僕らにできることは何なんだろう、と行動してきました。『宮城の』とか、『石巻の』とか大きなことではなく、これからも、現地の人とつながりながら、心に寄り添って、目に見える形で復興を手伝い続けたいと思います」と、Shogoさんはボランティアへの思いを語った。

 「思いはいっぱいあるんだけど、Shogo君たちが復興の土台になっている。彼らのような志のある子どもたちが来てくれたことが今につながっている」とヤマユ佐勇水産の佐藤さんは話してくれた。そのShogoさんを始めとした『This is a Pen』の活動の土台を、今、私たちは支えることができる。この原稿を書き終えることができたら、クラウドファンディングのページをまず訪れようと思っている。

  
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