2024年7月16日(火)

Wedge REPORT

2015年12月28日

 東京電力がその会社と同一だとは、今の段階でもちろん言えない。今後、東京電力が柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を達成し、ある程度の期間そうした安全運転を行った実績を求められるだろう。それでも東京電力自体に対する信頼が再構築されない場合には、福島第二原発の運営を新たな主体が行うことを考えてもよいだろう。

 16年度は根本的な課題について、「全てのタブーなく」議論する時期だ。政治や行政、そして社会がタブーに逃げ込めば、福島で自立しようと考えている人たちの行き場や頼りどころがなくなり、復興を遅らせてしまう。

 筆者の主張は、福島への支援を打ち切るとか削るというものではない。「責任追及と補償」というある意味で他者への依存構造を招きかねないネガティブな推進力から転換し、「日常に戻し、未来を築く」ために構築すべき政策体系を再検討しようという主張である。未来志向に切り替えるためには、それを阻むもの、例えば、福島内部というより外部の人たちの福島に対する理解度が不足している状況をどう改善するかという問題に真剣に向き合っていかなければならない。本稿はそれに取り組み第一歩としての課題抽出を行ったものである。

 


POINT 福島復興加速の6カ条

1.除染目標の基準を年間5mSvに戻し、個人線量で除染効果を評価
2.8000ベクレル/kg以下の除染土壌は中間貯蔵施設に持ち込まない
3.福島の現状や放射線リスクについて国が主導して全国に情報発信
4.損害賠償に区切りをつけ、コミュニティや生業の再生支援を強化
5.全住民帰還の旗を降ろし、市町村合併を含む広域的な復興計画に
6.復興予算に上限を設け、福島第二再稼働などタブー排した議論を


 

  
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◆Wedge2016年1月号より

 


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