チャイナ・ウォッチャーの視点

2016年1月25日

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 中国企業においてはグローバルに独自のブランドイメージ、ブランド価値が定着している企業はまだないかもしれないが、多民族が入り乱れる中で自分の主張を通すノウハウは十分持ちあわせていると考えられる。中国共産党がメディアの支配権を絶対に手放さないのは、こうした感覚とも関係があるものと思えてくる。政治、経済体制の問題もあり、今後、中国発の世界ブランドがすぐに生まれることは考えにくいが、仮に海外のブランドを買収した場合などに、そのブランドをどのように活かし、発展させるかというセンスは日本人よりも持ち合わせているかもしれない。中国企業が買収したボルボなどは上手く行っている事例ではないか。

以心伝心とは真逆

 一方、島国日本は、コツコツといいものを作ることに長けていても、自分を上手くアピールすることには潔しとしないとする文化的背景があると考えて間違いではないだろう。それは以心伝心とは真逆にあるのかもしれない。また、日本企業が買収した海外ブランドで買収後にその価値が高まっている事例はすぐには思い浮かばない。

 日本企業でブランディングが上手く行っているところはどの企業と思いますかと、車を運転しながらそのイギリス人に聞いてみた。その時私が運転していた車がホンダだからかどうかわからないが、ホンダは上手くやっているとの回答があった。ホンダエンジンを軸に携帯発電機や芝刈り機からオートバイ、自動車、F1、ジェット機まで構築されているブランド戦略が独特で面白いと。なるほど専門家はそういう見方をするわけだ。

 ただ、私が素人目に見て残念なのは、私が上海で乗っている広州ホンダのアコードはUSアコードがベースになっており、エンジンは3リッターで走行状況によって6気筒と3気筒に変わる日本では売っていないモデルだが、車格、スペック、内装、性能はアウディーのA6、BMWの5シリーズ、ベンツのEクラスとおそらく同クラスかそれ以上(とホンダの関係者も言っていた)であるが、それらの中国での販売価格は概ねアコードの倍。この差は何であろうか?(私はいい車を半額で乗れて全く文句はないのではあるが)。

 私はブランド価値の差と推測する。先日VWのディーゼルエンジンの不正問題の時に、同グループにおける販売台数ではVWがトップだが、グループの利益の40%はアウディーが占めているとの報道があった。つまりコストが大して変わらないアウディーをブランドイメージで高く売っているということではないのか。悪く言えば、上手く消費者を騙しているともいえるが、消費者は自分がプレステージカーを保有し、運転することにある意味喜んで騙されているとも言える。特に中国をはじめとした新興国ではそうした傾向が強いのかもしれない。

 もし、日本企業が本当にブランディングを上手く出来ていないのであれば、逆にそれはチャンスとも言える。上記のホンダに対する分析が正しければ、ホンダは同じコスト、または多少イメージを良くした車に更に倍の値段をつけて売ることができるかもしれないからだ。そのためにアキュラブランドがあるのかもしれないが、レクサスほどは上手く行っていないのは周知の事実だ。

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