チャイナ・ウォッチャーの視点

2016年1月25日

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 もちろん日本車は違った意味でのブランド選択で成功しているとも言える。それは故障せず、燃費がよく、価格もリーズナブルでスマートというブランドイメージだ。そのマーケットで生きるのも一つの戦略だ。ただ、混沌とした市場で生き残るにはその点で突出しており、一貫したイメージ戦略が必要だ。一番良くないのは、どっちつかずで曖昧な姿勢ではないか。そうすると、結局その他大勢に分類され価格競争に巻き込まれる。そうした傾向は中国においても顕著だ。家電分野においてはとっくに韓国勢に席巻されている。

中国企業さえもブランド戦略に力を入れている

 日本企業はブランド戦略に重きを置かなくとも、中国で競合する欧米企業、韓国、台湾は当然のこととして、そして最近では新興の中国企業さえもブランド戦略に力を入れている。このままでは、技術と品質で優位な日本企業は曖昧なブランド戦略の中で埋没してしまうのではないか。そうした懸念が頭をよぎる。逆にそうしたポイントに、中国においてもいち早く気づいた日本企業はチャンスである。技術、品質はレベルが高いのだから、上手くブランディングが成功すれば鬼に金棒である。多くの日本企業が重視していないのであれば、他者との差別化には手取り早い方法かもしれない。B to CだけでなくB to Bの分野でもそれは同じだ。

 また、自社のブランド戦略がしっかりしていることは社員のモチベーション維持や流通業者に対する価値観共有という点でも有利と考えられる。日系企業で働く中国人社員から、日本人の上司、または会社自身が何を考えているかよく分からないという話をよく聞く。実はこれは現地社員のモチベーションを削ぐ大きな原因と私は考えている。明確な企業の戦略が見えてこないと優秀な社員ほど早くその会社を離れてしまう傾向はあるようだ。流通業者にしても同じことだ。多くの選択肢がある中で、なぜその商材を目立つポジションに持って行くか、彼らにとって理解しやすいかどうか、売りやすいかどうかがポイントではないか。そうした意味でしっかりとした筋の通ったブランド戦略が通っていれば彼らも取り上げやすい。

 最近、ある消費財で中国市場に入りつつある日本企業に「中国で販売するには、しっかりとブランド戦略を再構築し直す必要があるのではないか」と話した。中国では全く新しい商材にもかかわらずブランド戦略を曖昧なままで成り行きでマーケティングしている印象を受けたからだ。上海の日本人トップも中国人幹部も現場感覚からその必要性を強く感じているのだが、御本社の答えは、まだそこまで売り上げが上がっていないからいかがなものかと。もう少し時間をかけて提案する必要があると実感した。

  
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