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2016年3月28日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 東京ガスが獲得した新規契約は3月14日現在で11万8000件と10万件を突破、大半が同社のガスを購入している世帯だという。東急グループ系の東急パワーサプライは2万件を獲得したと発表している。この契約数について東京ガスはまずまずとみており、最終的には市場全体の1割を獲得したいようだ。東急パワーサプライは「達成目標プラスアルファの実績」とみて、手ごたえを感じているようだ。

 防衛する立場の東京電力は、現在契約している2000万世帯のうち自由化の初年度の16年度は100万世帯が新しいプランに移行してもらいたいという目標を掲げ、他社に奪われるのは最悪のケースで2割程度と見込んでいる。

特色あるメニュー

 東京電力のプランを見ると、月額料金1万7000円以上と使用量の多い世帯を対象にしたプレミアムプランと、同料金以下を対象にしたスタンダードプランを比較すると、割引額がプレミアムの方がかなり多くなっており、多く使う世帯の割引額を優遇、ヘビーユーザーを重視したメニューとなっている。

 昭和シェル石油では契約すると、系列のガソリンスタンドで給油した時に、ガソリン1リットル当たり10円値引きが受けられる。また使用量が月600キロワット時以上の世帯では、給油値引きに加えて電気代を1キロワット時当たり1円値引きする。石油会社の特色を生かして、車を使う世帯の取り込みを狙っている。

 携帯電話auサービスを展開するKDDIは携帯電話とのセットで割引するメニューを発表、携帯電話の契約者に絞って新規獲得を目指す。ソフトバンクは東京電力と組んで携帯料金とのセット割引を行う。NTTドコモはいまのところ、態度を鮮明にしておらず、どう出るか各社が注視している。

 自然ネルギーを重視したベンチャー系のLOOOP(ループ、東京都文京区)は、新しいメニューの中で基本料金ゼロ(申し込み期限が5月末)を3月に打ち出し、使用電力料金も1キロワット時当たり26円と一律に設定した。これまでの料金体系は、電気を多く使うほどキロワット時当たりの料金が段階的に高くなっていたが、一律にすることで料金計算が分かりやすくなる。

 当面は東電、関電、中部電の契約者が対象。この会社は自社の発電所と提携している発電所と合わせて全国に1500カ所の太陽光発電所からの電気の供給を受けている。4月から9月までは供給する電気の20%は太陽光発電によるもので賄い、足らない場合は電力市場から調達するとしている。

 テーマパークを運営するハウステンボス(HTB)は、子会社のHTBエナジーが供給する電力を、親会社の旅行代理店H・I・Sを通じて販売する。同エナジーは「地域の電力会社の料金よりも、アンペア数に関係なく最低でも5%安くする」と宣言している。このプランは少ない電気消費の世帯でも割引になる点で、少人数世帯に向いている。旅行代金も最大3000円まで割引になるメリットもある。同社はLNGを使った発電事業を行っており、今後は大分で地熱発電なども計画している。再生可能エネルギーの開発に力を入れることで、電気料金自由化に参入すると同時に、企業のイメージアップにもつなげようとしている。

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