Wedge REPORT

2016年3月28日

»著者プロフィール
閉じる

中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

ガスの自由化で巻き返しも

 まだあまり知られてないが、電気料金に続いて、来年4月からは都市ガス料金も自由化される。そうなると、関東や関西、中部などの大都市圏では、今度は攻守が変わって、地域の電力会社が地域のガス会社を攻める立場になる。東京電力は、ガスが自由化されるとなれば、「電気とガスのセット販売など、挑戦者として競争に勝てるメニューを検討したい」(川本清充カスタマーサービス・カンパニー業務統括室課長)と意気込んでいる。

 ガスの原料となるLNG(液化天然ガス)は東電も東京ガスも輸入しているが、東電は大規模にLNGを調達しているメリットを生かして都市ガス事業を拡大しようとしている。このため、東電は仮に今年の自由化競争で顧客を奪われても、ガスの自由化で取り返す構えだ。

 一方、中部電力など域外の電力会社が関東エリアで家庭用電気を販売するなど、従来の独占的供給エリアを超えた販売もできるようになり、これまでの電力業界の販売常識にはなかった「仁義なき戦い」が展開されようとしている。また、LNGの調達では東電と中部電力が共同で行うなど手を握っており、一方で競争しながら別のところでは共同で事業展開をするなど、生き残りのために提携と競争が入り乱れている状況だ。

 電力・ガス自由化の勝敗の行方は、初年度ではなく数年後に判明することになりそうだ。いまは原料の原油価格が値下がりしているから、料金値下げに追い風となっているが、3月に入って原油価格は反転してきている。原料コストが上がってくると体力のない新規参入業者は経営が苦しくなる恐れもある。その中で新規参入会社が新しく獲得した利用者を味方につけて、どこまで契約を伸ばすかが注目される。


  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。 
 

関連記事

新着記事

»もっと見る