今回はおよそ100万ノードのグラフが完成、これを元にグラフデータベースが構築されたようだ。データベースが人工知能で自動解析できれば、話は早いのだが、そこまで技術は進んでいない。最終的には世界中にいるジャーナリストが協力してデータベースにアクセス、解析作業を進めているのだ。
Nuixを日本で販売する会社を直撃
世界各国の政府機関、法律事務所、日本でも証券取引等監視委員会をはじめ主要な政府機関や大企業でも使われているというNuixを日本で販売、操作のための専任スタッフの教育も手掛けているのがAOSリーガルテック。Nuixは1000万円以上もするソフトウエアで、その操作にも専門知識が要求されるため日本でも数社しか扱っていないという。
同社の代表取締役・佐々木隆仁氏はこう語る。
「パナマ文書がリークされる以前から、すでに国家間での情報戦争は始まっていました。ビックデータを収集、分析するのに最も秀でているのは国家機関ですからね。そこで必要になったのがフォレンジツールです」
膨大なデータを収集、分類、分析するには膨大な人員を抱える必要がある。しかし、世界中を飛び交うデータの量は年々、加速度的な勢いで増えていく。
「例えばガラケーからスマホに変わったことで個人が扱えるデータ量は100倍以上も増えました。国家機関は以前から仮想敵国の通話を盗聴していましたが、音声データの分析には非常に時間が掛かるため成果を上げるのは困難でした。現在はEメールのデータを収集してフォレンジツールに分析させています。これで人員とコスト、時間も短縮されました」
確かにパナマ文書のリークによって一国の首相が失脚するという事態が発生している。ビッグデータは情報戦争の有力な武器なのである。佐々木氏はこう続ける。
「情報戦争で最も遅れているのが日本です。アメリカの裁判にはe-Discovery(電子情報開示制度)があり、訴状が提出された120日以内にESI(電子的保存情報)を提出しなければなりません。このために企業もNuix Investigatorを所有、それを使いこなせる社員もいます。日本は特許訴訟をおこされるとあわてて対応して、見せなくてもいい資料まで提出。裁判はボロ負けで莫大な損害賠償を支払うはめになります」