2024年12月23日(月)

世界の記述

2016年8月28日

 トルコではクーデター未遂事件から1カ月強が経過した。エルドアン大統領は7月20日、背後にいるとする反政府勢力ギュレン派の一掃を狙い非常事態を宣言した。

軍のクーデター未遂を受け、政権支持を表明するため集まった群衆(Getty Images)

日本にまで触手伸ばしていたギュレン派

 同派は1960年代に誕生した教育活動や貧困問題の解決を目指す社会運動の信奉者を指す言葉だ。宗教指導者のフェトフッラー・ギュレン氏の名前をとりギュレン運動と呼ばれたり、奉仕を意味するトルコ語からヒズメット運動と呼ばれる。

 同氏の傘下組織は、日本でも90年代後半から資金調達を行う貿易事業と学校法人を運営する教育文化事業活動を開始し、一時は宗教活動も行うのではと当局が注視していた。

 エルドアン首相(当時)は同運動を利用し権力を拡大した。だが同首相の関与が疑われる汚職疑惑の発生を機にギュレン氏との間に溝が生まれた。袂を分かった同首相はギュレン派が軍や警察、メディア、司法界、経済界などに根を
張っていると危険視し、13年秋以降、政権内部に同派の「並行国家」が組織されたとして関係者の多くを逮捕・訴追してきた。

 14年に大統領に就任したエルドアン氏が今回のクーデター未遂事件発生後、同派の画策であると主張し、軍人・警官・公務員など6万人超を拘束・解雇したのはそのためだ。


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