2024年11月21日(木)

ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2016年9月8日

「一番好きなもの」を「少し」減らす

 さて、食べ過ぎや飲みすぎの人が「適量の飲食」にするには何を減らせばいいのか? 今は栄養学も個人対応の時代である。一人ひとりの生活を分析し、飲食物を調べ上げ、摂取カロリーを計算し、体質を見極めて「何をどれだけ減らせばいいか」という結論を導き出す。しかし、それは至難の業に近いし、ここでそんなことをやる余裕はない。

 「何を減らせばいいか」は個人によって大きく異なるのだが、たった1つだけ「すべての人にあてはまる」真理がある。体重を減らしたい人が最初に制限すべきもの、それは「あなたの一番好きなもの」である。お酒の好きな人はお酒を、揚げ物を好きな人は揚げ物を、スイーツを好きな人はスイーツを、「少しだけ」減らす。

 たとえば、毎日お酒を飲んでいる人は休肝日を週に一日だけ作る、毎日甘いものを食べている人なら週に一度だけ休甘日(これは私の造語)を作る、週に2回てんぷらを食べている人があったら週に一度にする、などから始めてみよう。

 ダイエットをする際、嫌いなものから減らしていく人をときどき見かける。私は長い間この仕事をしているが、嫌いなものを食べすぎて太っている人に出会ったことがない。嫌いなものを減らしても減量効果はほとんどない。一番好きなものを少し制限する・・・・これがダイエットのコツなのだ。

 「好きな食べ物を減らす」というと怒る人がいる。「自分の人生、何が悲しくて好きなものを減らさなくてはならないのか!」と。しかし、私は「やめろ」といってるわけではない。「健康のために少し減らそう」と提案しているだけだ。それをせずに、肥満のままの生活が長く続くと、将来、本物の糖尿病や脂質異常症(高脂血症といっていた疾病)や高血圧症になるリスクが極めて高い。

 たとえば糖尿病になると、医師からは「お酒はやめなさい」といわれるだろう。「制限する」のではなく「断酒」を指示される。断酒などそう簡単にできることではないので、飲み続けることになるが、その後は脳血管障害や心臓血管障害が待っている。仕事や遊びどころではなく、生命の危険さえ伴う。そうならないうちに「少し制限する」生活を始めるのが、まともなビジネスパーソンのスマートな選択である。 

  
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