World Energy Watch

2016年9月16日

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 2010年に1100万キロリットル(KL)だった電力会社の原油と重油の消費量は、2011年には2300万KLを超え、2012年には3000万KLに迫った。2010年に4200万トンだったLNGの消費量は、2011年には5300万トン、12年には5600万トンに達する。2013年から原油・重油の消費量は減少を始めるが、代わって石炭が1000万トン増加する。図‐5が示す通りだ。

 使用量が増えても、単価が下がれば支払総額は増えないが、間が悪いことにリーマンショック後1バレル当たり50ドルを切ることがあった原油価格は、2011年になり100ドルを超え、2014年の秋に下落を始めるまで、ほぼ100ドルを維持することになった。原油価格にリンクする契約形態が多いLNG、また競合燃料の石炭も同様の価格推移となった。

 さらに、2013年1月に発表された日銀の2%インフレターゲット政策により円安が進み、1ドル80円台だった為替レートは、2013年末には100円に、2015年には120円になる。円安は輸入品の価格のアップを招く。燃料消費量の増加に加え、単価上昇、円安により燃料代金、電気料金は大きく上昇することになり、震災前との比較では家庭用電気料金は最大25%、産業用は38%上昇することになった。しかし、電気料金を上昇させたのは燃料代ばかりではなかった。太陽光などの再生可能エネルギーにより発電された電気を買い取る固定価格買い取り制度(FIT)による上昇額も大きかった。

再生可能エネルギー導入費用の負担の大きさ

 エネルギー自給率向上、地球温暖化への対処を目的に欧州主要国が再エネ導入支援策を本格的に開始したのは2000年代になってからだった。支援策の中心になったのは発電された電気を買い取るFITだった。買い取り額は電気料金の形で需要家が負担する。日本においても、大震災直後に大きな注目を浴びたのは太陽光、風力などの再生可能エネルギーによる発電だった。推進派は、「再エネにより原発の電気を置き換えることができる」「太陽光パネル製造などにより産業が振興される」とメリットを強調した。

 この話を真に受けて、政権の辞任と引き換えにFITを導入したのは菅直人政権だった。制度が開始されたのは2012年7月だったが、その前後から先行した欧州諸国ではFIT制度の見直しが相次いでいた。買い取り電力量の増加による電気料金の上昇が各国で問題になってきたためだ。期待した産業振興も中国企業の進出により実現せず、関連する欧州企業は振るわなかった。

 欧州主要国は、買い取り額の減額を続けたが、中には制度そのものの見直しをおこなう国もでてきた。スペインは遡及し買い取り額の減額を行ったが、過剰な利益が再エネ設備導入者にもたらされないように、7.4%の収益率を上限とし買い取り額が決められた。同時に2005年以前建設の風力発電については、買い取りを中止した。事業者からは、遡及による制度変更について訴訟が起こされたが、スペイン最高裁は、政府は変更の権限を持つとして訴えを退けた。

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