家庭内会議こそアジェンダを作ろう
この「会議」という仕組みを、家族の間でなにか問題が起きた時、もやもやイライラしたときに、活用するのです。
先の親子喧嘩の例には実は続きがあります。父は妻子から「分からないなら口出さないで!!」と言われたあと、はっと冷静になって考えたのです。
「今の議題はなんだ? 彼らはそれぞれどんな問題をかかえていて、何を解決したいんだ?」と。
そして、母子二人に提案しました。
(父)「OK、そこまで。今日はいったんここまで。この話については明日、家族会議を開くことにしよう」
(子)「会議ってどうするの?」
(父)「まず時間を決めよう。明日の夜19時から19時20分まででいいかな?」
(母子)「うん、大丈夫」
(父)「次に、何を話し合いたいのかをはっきりさせよう。議題だね。『空手の稽古』についてなのかな? それともほかのことかな?」
(母)「空手についてなんだけれど、空手を続けるかどうかというより、私は太郎本人がどうしたいのかを聞きたい。私が無理やり行かせているみたいになるのが嫌なの」
(父)「なるほど。どうしたいのかを知りたいというのが中心なんだね」
(子)「ぼくは、ママがすぐ怒るのが嫌だ。何考えてるのか分かんない」
(父)(母が何かを言いそうになるのを制しながら)「太郎は、ママの考えていることを知りたいんだね」
(父)「整理すると、太郎もママもお互いが何を考えているかを知れば、その後は、空手の稽古をどうするか相談して決められる、ということでいいかな」
(母子)「うん。大丈夫だと思う」
と、ここで父は手元の紙に今決まったことを書き出しました。
(父)「ほら、明日の会議のアジェンダだよ。話し合う議題をはっきりさせた書類のことだね」
(子)「おお~、なんだかカッコいい! 大人みたい」
あえて今日は会議をしないのがコツ
(母)「たしかに、なんだかきっちりしようという気になるわね。でも、これだけ整理されたんだったら、もう今話し合ってしまえばいいんじゃないの?」
どちらかと言えば、子どもと寄り添う時間が父親より多い傾向にある母は、いつものことだけに、早く話してしまいたくなるものです。
ですが家庭内会議は、「よし、やろう!」と決めたその日ではなく、次の日以降にするのがコツ。