アジェンダを印刷して、各自が手に持って、会議に向けて準備を整える時間が大切なのです。いったん感情を寝かせる時間です。
それに子どもにとっては、自分の考えていることを言葉にするというのは、そう簡単なことではないので、今すぐ聞かれてもなかなか答えられません。
でも、今のアジェンダのように「空手について太郎はどうしたいと考えているのか」と、自分が答えればいいことがはっきりと示されていれば、次の日までに子どもなりの言葉で考えることができます。
さらに、このアジェンダがあるおかげで、父もまた自分の役割を見失わなくてすみます。
今回の議題について、父の価値観が問われていないことは一目瞭然。となれば、会議での父の役割は、会議の進行役、ファシリテーターを務めればいいわけです。
自分の考えを述べるのではなく、妻子それぞれの考えを引き出し、言葉をはっきりとさせ、そのうえでお互いが冷静に話し合えるように促して、最後の決定につなげていく役割ですね。
ただし、母子が相談する中で、父に果たしてほしい役割や行動が見つかることも十分考えられます。ですから、アジェンダの「決定事項」には、最初から「パパ」の欄も設けられているわけです。
このように、家庭内のもやもやイライラに対しては、ぜひビジネス感覚を生かして「家庭内会議」を活用してみてください。
問題が“見える化”されて、家族それぞれの理解と、これからの行動の決定がとても楽に進みますよ。
それでは今回の話はここまでといたしましょう。
次回は、子どもの自立力を育む「権限移譲」のコツをお話ししたいと思います。
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