一つひとつ納得を得ながら進める
まず、「明確な目標」と「やり遂げようという気持ち」を共有することからでしたね。
「偏差値50以上取らないとクラスが落ちちゃうんだからね。絶対50は取りなさいよ!」ではダメですよ。
「今度のテストは何点を目標にしようか?」と話し合い、「取りたい?」と目標への意欲を確認し、「がんばれそう?」とやり遂げる意思に耳を傾けます。
そして、「塾の宿題は毎週のことだから、やり方は分かっているよね。かかる時間もだいたい同じぐらいで出来ているから、どう? 今週の分は自分で計画立ててやってみない?」と、お子さんが今できていることにしぼって、勉強の一部分を本人に委ねていきます。
本人の自主性が大切なので、するかどうかは必ず本人に尋ねます。
失敗した時の責任は自分が取ること、達成状況の途中点検は行うことも納得を得ましょう。
「もし上手く行かなかったらそれはママの責任だから、後で叱ったりしないからね。その代わり、今どこまで出来ているか途中で教えて欲しいの。もし上手く行ってないと分かったら途中ですぐ手伝ってあげられるから、後になって完全に困ってしまわないようにね。それでいいかな? じゃあ、6時と8時と9時の3回は『いまどこまで完了したの?』って聞くから教えてね」
できるところは任せる、まだ難しいところは支援する
お子さんが納得して、塾の宿題については自分で計画を立てて進めることになったら、お母さんお父さんは、その達成状況を確認してあげつつ(過度の口出しはしません)、苦手単元の復習をどのようにするか、テキストや過去のテストを整理しながら考えて、勉強準備を整えておいてあげます。
一足飛びにあれもこれも全てを本人に任せるのではなくて、今はまだ本人の能力では難しいところは支援するわけです。
そして本人の成長を見計らいながら、次の段階では、苦手単元の復習をするために親がどんな準備をしたのかを本人に教えてあげ、自分でできそうなことはまた委ねていけばいいのです。
いかがでしょうか。
相手に良かれと思って言ったことが、家族を怒らせたり泣き出させたりすることは、減りそうでしょうか。
今回はマネジメントにおける重要テーマの一つ「権限委譲」のスキルを、子育てに活用してみました。
ビジネススキルには子育てに活かせるものが数多くありますが、感情がぶつかりあってしまいそうになる場面では、特に重宝するものです。
上手く活用して、より気軽に子育てを楽しんでいただきたいなと思います。
次回は、「親しき中にも礼儀あり」TPOをわきまえた話しかけ方をお伝えしたいと思います。お楽しみに。
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