2024年12月27日(金)

田部康喜のTV読本

2016年11月9日

 女優を育てるシステムは、所属する事務所とテレビ局の二人三脚である。新垣は、レプロエンタテインメント、武井はオスカープロモーション。朝のテレビ小説の「あまちゃん」で人気者になった能年玲奈が事務所からの独立を図ったことから、芸名を変えざるを得なかったり、SMAPの独立問題が起きたり、レコード大賞をめぐる事務所の疑惑報道などが重なって、芸能事務所がなにかと話題になっている。

 映画全盛時代は、映画会社が女優を専属にして育てる、スターシステムが取られていた。テレビ時代になって、キー局と事務所が育てる仕組みができあがったのである。毀誉褒貶は当然ながら、そのなかで女優たちはチャンスをつかまなければならない。

 新垣は幸せな女優である。映画では「恋空」(2007年)、「麒麟の翼」(2012年)のヒット作品に出演している。今回は、シンガーソングライターであり、俳優でもある星野源との共演である。

 俳優としての星野は、「大人計画」に所属している。宮藤官九郎も俳優として所属しているばかりか、彼の映画・ドラマに「大人計画」のメンバーが出演している。阿部サダヲであり、荒川良々らである。

 星野のコメディアンぶりは、NHKのコメディー番組「LIFE!~人生に捧げるコント」でみることができる。ふたり組の漫才は、「ボケ」と「突っ込み」に役割が分かれているのが原則だった。現代の漫才は、ふたりがそれぞれ瞬間、瞬間にその役割がめまぐるしく変わるコンビもいる。星野はふたつの役割ができる役者である。

「ボケ」と「突っ込み」の役割が逆転

 ドラマは、みくり(新垣結衣)の契約(偽装)結婚の申し出に対して、平匡(星野源)が厳密な契約書を作る。みくりは、テレビ番組のなかで、インタビューを受けるような妄想を抱きながら、自分の現状を語っていく。みくりの「ボケ」と平匡の「突っ込み」で、進展してきたドラマは、第4話(11月1日)に至って、その役割の逆転が起きようとしている。

 契約(偽造)結婚の契約のなかで、「恋愛条項」があり、ふたりはそれぞれ恋愛や異性を好きになることができるが、契約結婚の実態を崩して他人に知られてしまうような行動は控える、となっている。

 すでに、契約(偽装)結婚は、平匡の会社の同僚である風見涼太(大谷亮平)に見破られた。風見は平匡とみくり、自分自身の3人の秘密として、みくりを週に1回家事の補助に雇う。平匡はみくりに対して、こうした「副業」はみくりの「自由意思」だという。


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