AIはシンギュラリティの夢を見るか?

2016年12月7日

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弁護士は二極化していく

 野村総研は2015年12月に『雇用の未来』と同様の分析アルゴリズムを用いて、国内の職業について人工知能やロボット等で代替される確率を試算した結果、10~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、それらに代替することが可能との推計結果が得られたと発表した。

 2012年に労働政策研究・研修機構が発表した『職務構造に関する研究』に列挙されている601の職業が対象で、もちろん司法書士、行政書士、弁理士なども含まれているが、野村総研が公表したプレスリリースでは、それらは人工知能やロボット等による代替可能性が高い100種の職業には含まれていない。しかしAIは確実にそれらの仕事を自動化しつつある。

 どうやら、日本の弁護士の仕事がコンピュータに奪われることは(しばらくの間は)なさそうだ。しかし、AIを育てて使いこなすことができる弁護士と、そのようなAIの指示を受けて働く弁護士に二極化していくだろう。前者になるには、高橋弁護士ほどのAIやITについての深い知識と理解は必要ではないにしても、AIを積極的に活用して自らの仕事を高度化して行かなければならない。これは司法書士、行政書士、弁理士などが、AI時代の活路を見出すためにも必要なことだ。

法令・判例データベースの整備が課題

 弁護士の訴訟業務においては、案件に関連する法令や条例、そして過去の判例を抽出することは基本的な仕事だ。

高橋氏 法令は総務省でデータベース化されているが、条例は一部の地方自治体がホームページに掲載しているだけで、それらの仕組みがバラバラで横断的に調べることが難しい。検索可能なものもキーワードによる検索だけが可能で曖昧検索ができない。また判例については、最高裁が選んだ代表例だけが公開されているが網羅性が乏しく、民間が有料で提供しているものも検索性が良いとはいえない。

 京都大学大学院のホームページによると、米国の判例は、その数が膨大であるがゆえに検索システムが極めて機能的に構成されているという。連邦最高裁、連邦控訴裁、連邦地裁 、州裁判所ごとに判例を検索できるサイトがあり、LexisNexisやWestlawなど収録データの網羅性や検索機能の優秀性、速報性などに優れたサービスが存在する。

 政府はIoTサービスの創出支援やAIネットワーク化の推進などに積極的だが、リーガルテックの分野で米国に遅れを取らないように、法令や判例などのデータベース整備にも取り組むべきだろう。

  
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