3学期に入ってから、たくさんの民話を読んできました。民話の世界に入りこみ、村人たちのおかしさに一緒になって笑ったり、悲しさに浸ったり、思いに共感したり・・・.。民話の中に込められている様々な思いを感じながら読んできました。
そして先日、初めて劇について話題にしました。
「今日はみんなに相談があります。風2組のみんなで劇をやってみたいと思うんだ。それについてはどうかな」と聞くと、返事はもちろん「うん、いいよ」「やりたい」。まずはホッと胸をなでおろした担任です。
劇の取り組みは、演じることの楽しさを感じるだけでなく、自分の演技が観ている人にどのように映るのか、自分を客観的に見ることも子どもたちに要求していきます。
そんな中思うようにいかず、壁にぶつかることもあるでしょうが、劇の取り組みを通して、子どもたちがさらに一皮むけてくれたらと思っています。
風2組 学級通信「麦」より
幼稚園生活も残り少なくなった年長児クラスの2月、風の谷幼稚園では「劇作り」のカリキュラムが始まる。他のカリキュラム同様、この「劇作り」に込められた教育意図も奥が深く、そして実に綿密なものだ。この内容を2回に分けてご紹介していこう。
風の谷の先生の
冬休みの過ごし方は?
さて、学級通信にあるように、先生から子どもたちに「劇作り」の提案がなされるのは2月に入ってからだが、実はここまでには周到な準備が積み重ねられている。
その1つ目は担任の冬休み中の宿題である。風の谷幼稚園では年中児クラスと年長児クラスの担任になると、冬休みに宿題が課される。それは、3学期に行われる「劇作り」の題材となる絵本を決め、その過程でどのような指導を行い、どのようなことを子どもに学ばせるかを綿密に設計することだ。そして、3学期がスタートすると職員会議でその内容を検討し、園長や他の先生からのアドバイスを得て、さらに精度を高める。
そして、ここからが風の谷幼稚園らしいところだが、そこまで苦労して考えた題材と指導内容がありながらも、その題材を子どもたちに強制することはない。なぜなら、「いくら綿密に用意されたカリキュラムであっても子どもの自主性を引き出さない限り教育効果は限定的になる」という認識のもと、劇の題材は最終的には子どもたちの話し合いで決めることになっているからだ。つまり、子どもたちの賛同がなければ、先生の冬休みの宿題はゼロからやり直しになるということだ。(実際にはそうなることは少ない。その理由は後述)
そして、冒頭のエピソードにあるように、いよいよ「劇作り」がスタートする。先生からの提案に対して、子どもたちは題材選びを議論する。この子どもたちの話し合いは全員一致というルールのもと、「相手を説得できた方が勝ち」。つまり、自分の好き嫌いの感情で自己主張をするのではなく、「なぜ、その劇がやりたいのか」という理由を説明し、それを相手に納得してもらわなくてはならないのである。この様子を学級通信から見てみよう。
「よし、じゃあ今からみんなで決めていこう。先生は風2組のみんなが“これがいい”って思えるものがいいと思うから。まずはやってみたいお話と、どうしてそれがいいのかを言ってみて」と提案。すぐさま、パッと手があがりました。
最初に候補としてあがったものは以下のものでした。