2024年12月10日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年2月8日

 ロシアがシリアのみならず、アフガニスタンでも影響力を保持しようとしていることを、この論説はよく描写しています。ロシアは親米のガニ政権は長持ちしないと見越して、タリバンとの関係を構築し、あるいはカルザイ政権の復帰を念頭に先を見据えた政策展開をしているのかもしれません。また、米国が困ることをして、それを取引材料にトランプ政権との関係強化を狙っているのかもしれません。動機はよく分かりませんが、事実として、ロシアがアフガン関係でそれなりの動きをしていることは念頭に置く必要があります。

コストのかからない対米けん制策

 1989年にソ連がアフガンから撤退した後、ソ連は共産主義者のナジブラ政権をカブールに残しましたが、ナジブラ政権は1992年に崩壊しました。ロシアがその経験上、ガニ政権も米国、NATO軍撤退後、それほど持たないと考えることはあり得ることです。ただ、ナジブラ政権を倒したのはタリバンであり、タリバンはソ連の宿敵であったしテロの脅威のもとにもなりますから、ロシアにとりタリバン政権が良いとは必ずしも言えないでしょう。あまりコストのかからない対米けん制策と考えているのかもしれません。

 ロシア指導部は、ロシアのシリア介入を一つの成功体験と考えていると思われ、それがアフガンをめぐる介入にもつながっているように思われます。それにしても、ロシアは国力もないにもかかわらず、実に色々な局面で頑張る国であり、そういう意味では感心させられるところもあります。

  
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