情報拡散の目的は2つ。1つは米国や欧州諸国が将来、ロシアの選挙干渉を再び受けることのないようにすること、もう1つは後の捜査に役立つよう、情報の痕跡を明確に残すことだった。一部の当局者は関連情報を公文書に残す工作を行い、情報の提供先には欧州の幾つかの同盟国も含まれていた。
情報機関のアナリストらが共有している極秘のウェブ・プログラムにも多くの情報がアップロードされ、機密情報へのアクセス権のない人間も含め多数が情報に接することが可能になった。仮にもみ消そうにも、もみ消すことができない状況になっている。
オバマ大統領からの指示はなかったとされているが、トランプ氏やバノン首席戦略官らは信じていない。オバマ氏らとその影響下にある情報機関がトランプ政権の信頼を失墜させ、究極的にはトランプ氏を弾劾させるため、極秘情報をメディアにリークし続けていると疑っているのだ。トランプ氏が情報機関とメディア攻撃を強めているのはこうした背景がある。
環境、国境税めぐり対立激化
トランプ氏の不機嫌な理由はこのロシア疑惑に加え、「パリ協定」からの離脱と輸入税をめぐる政権内部の対立が激化していることもある。
トランプ氏は温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を選挙公約に掲げてきたが、米紙などによると、ここにきてトランプ氏の長女イバンカさんやティラーソン国務長官が外交的な悪影響を理由に反対。公約順守を主張するバノン首席戦略官と激しく対立している、という。
イバンカさんはトランプ氏と毎日5回以上電話で話すというくらい信頼が厚いが、側近ナンバー・ワンのバノン氏と対立していることにトランプ氏は頭を悩ませているようだ。
また輸入品に関税を掛ける新税の導入についても、推進派のバノン氏、ナバロ通商会議議長らと、ムニューチン財務長官、コーン国家経済会議委員長が難色を示し、議会も巻き込んでの対立が深まっているという。
トランプ氏はこのところ、週末毎にフロリダの別荘で過ごし、ゴルフを楽しんでいるが、早朝からツイートを連発した今回はイライラのあまり、寝ていないのではないか、との声がもっぱらだ。
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