2024年12月23日(月)

Wedge REPORT

2017年4月1日

 桜を江戸の郊外、今の飛鳥山に植えて「花見」による春の遠出、行楽を勧め、庶民の気持ちを和ませたのは、テレビ時代劇『暴れん坊将軍』で知られる、八代目の将軍吉宗。四季を愛でる日本人の気分にまことに沿ったものと見えまして、国民全体が無類の花見好きになっています。

 満開の桜の木が2〜3本あると、その下にビニールシートをひろげ、お酒を飲みながら、お弁当をひろげながら、ワイワイガヤガヤ。誠にイイモノですね。落語でも有名な『長屋の花見』(関西では『貧乏長屋』)にもあるように、ガブガブのボリボリ(お酒の代わりにお茶漬け、玉子焼きの代わりにたくあん漬け)しかできなくても、とりあえずはシーズン1回は花見をしないといけないようです。

この春、クラフトビールをお供にするのはどうですか?

 長屋の花見では、「お酒」を「お茶け」で誤魔化すのですが、お酒があったほうが和みますね。あまり多くはいりません。寿司折りにビールの350ml缶が2本もあれば結構な感じでしょうかね。昼間から千鳥足は余りみっともないですからね。その上、春ですから割と冷えます。花見の時間も、1〜2時間位が適当でしょう。とにかく快適に過ごそうと思ったら、お尻も含め防寒対策を十分することです。

 さて本題のビールですが、2時間に2本ですと、かなりスローペース。また外気も暑いというほどではありませんから、よく言われる「キンキンに冷えた」ビールでないほうがベター。

 となると、4大メーカーが作っている『ピルスナー』と呼ばれる種類(アサヒビールの『スーパードライ』も、サッポロビールの『黒ラベル』も、キリンビールの『一番搾り』も、サントリーの『プレミアムモルツ』も、ビールの種類で言えばピルスナのー種です)ではなく、今、人気急上昇のクラフトビールがベターだと思います。

 クラフトビールは、今、急速に認知が進みつつありますが、基本的には小さなブリュワリー(醸造所)が作るビールのことを指します。昔の言い方だと「地ビール」。ビールは実にいろいろな種類があります。無形世界遺産に登録されたベルギービールを楽しむお祭りが今年もありますが、そこに出展される140近い銘柄は、大別すると11種類に分けられるそうです。中心は「エール」系のビールですが、いくつも種類があります。先ほどのピルスナーは、その中の1種にしか過ぎません。このため、確かに、日本のビールメーカーの差もきちんとあるのですが、やはりピルスナーの中での違い。クラフトビールは「香り」「味」「コク」が全く違うビールとなります。

 実は、世界で作られているほとんどはピルスナーです。これは、口当たり良く、ガブガブ飲めるからです。味もどちらかというとアッサリ目で、いろいろな料理に合わせやすい。香りもやや弱めで、和食にも合います。しかし、嗜好品としてのビールとしては物足りません。

 ワインを見ればお分かりだと思いますが、ワインは「香り」を楽しみ、「色」を楽しみ、「味」を楽しみます。ところがピルスナーは、それが極端ではないからこそ、いろいろな人に受け入れられたと言えます。

 逆に言うと、それに飽き足らない人が中心となり、今、世界中でクラフトビール、ブームが起きています。そう、クラフトビールは「香り」「味」「コク」をじっくり味わうビールなのです。


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