ハーレーダビッドソン専門店
5月4日(水)。ノブさんは若いころからの筋金入りのバイク好きである。退職後はイタリアのモトグッチを購入してツーシリンダー独特のエンジン音を響かせてツーリングを楽しんでいる。そんなわけでFlagstaffから小一時間走ってBellmontにある“Grand Canyon Harley-Davidson”なるハーレー専門店を尋ねた。
広い店内には100台以上のハーレーが所狭しと並んでいる。お値段は安くても3万7千ドル、高いものは10万ドル近い。一番小さくて安いモデルでも全米でベストセラーカーであるトヨタの中型セダンのカムリよりも高い。ノブさんは店員さんに勧められて大型バイクにまたがっている。
ノブさんによると日本人の体格では手が届かないか、手が届いても長時間ハンドルを握るのは大変であろうとのこと。座席に比べてハンドルのグリップの位置がかなり高くて負担になるようだ。さらにクラッチが固くて市街地で何度も加速減速を繰り返したら手が痺れそうという。日本人でかっこつけてハーレーに乗るというのは見栄っ張りで瘦せ我慢が好きな人間でないとできないようだ。
「ローマまでの輸送費を入れても安いわ」、クラシックカーはお買い得
5月6日 Kingmanはアリゾナ西部の人口数万の小都市だ。クラシックカーを販売しているショップが数軒ある。きれいに修復されたクラシックカーがショールームに並んでいる一軒のショップに冷やかしのつもりで入った。
先客のご婦人がオーナーと話している。イタリア人は声が大きいので彼女の会話がよく聞こえる。彼女はイタリア人で旦那と二人でルート66を旅しているらしい。旦那は今日他の場所に出かけたので一人で町を散歩していた。旦那はクラシックカーが大好きで自分も興味があるのでショップに立ち寄ったというような話を陽気に喋っている。婦人はクラシックカーの値段がイタリアの半分以下なので驚いたという。オーナーは「先週来たドイツ人マニアはドイツ国内の販売価格と比較して三分の一くらいと吃驚していましたよ」と答えている。
婦人はローマまでの輸送費(freight)を知りたいという。オーナー曰く、「これまで沢山欧州の顧客向けに出荷してきましたが、欧州の主要港まで一台あたり5000ドルが目安。隣町のOttomanから鉄道でニューヨークへ運び、ニューヨークからロンドンまでコンテナ船に載せて合計5000ドルが標準運賃です。ローマもそれほど変わりません。」婦人は大満足で明日旦那と再訪すると言って辞去した。
オーナーと婦人の会話を要約してノブさんに説明するとノブさんは俄然真剣モードに。ノブさんは1955年製のフォードの黒塗りフルサイズセダンに目を付けていた。$26900(当時の為替レートで290万円)であり、これに輸送費を入れても350万円程度だ。ちなみに大統領がパレードなどで使用するオープンカーになるリンカーンのコンパーチブルモデルが$5900だ。
これら展示されている売り物のクラシックカーはエンジンから全てオーバーホール、摩耗破損したパーツは新品と交換、塗装も全部塗り直し、さらに内装は専門の職人が本革シートを張替えているという。見た目はピカピカで新品同様である。