世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年5月10日

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米ロ関係が改善の兆候は全くない

 この論説は、トランプ政権の下、米ロ関係が改善するとの期待があったが、そのような兆候が今は全くないことを、米ロ双方で起こっていることを材料に論じたものです。

 第1に、米国側では、ロシアがトランプ当選を狙って大統領選に介入したかどうか、そのことについてトランプ陣営とロシアとの間で共謀関係があったかどうか、FBIの捜査が行われています。議会の上下両院の情報委員会も同じことを多くの証人を呼んで調査することになっています。

 マナフォート(トランプの元選対本部長…かつて、ロシアの政商デリパスカとウクライナの前大統領ヤヌコビッチから大金を得て、ロシアに友好的な世論工作をした)、フリン(ロシアと不適切な接触をして、かつそれについてペンス副大統領に虚偽報告したとして辞任した前国家安全保障補佐官、現在、免責特権が与えられれば話すと申し出ている)、クシュナー(トランプの娘イヴァンカの夫…制裁対象になっているロシアの国営銀行の頭取と会談している)など、20人位を、上院の情報委員会は証人として呼ぶとされています。そういうなかで、米ロ関係のリセットにトランプ政権が動く余地はほとんどありません。

 第2に、この論説は、ロシア側において、関係改善に対する期待はほぼなくなっていることを、ロシアメディアやメドヴェージェフ発言を引用して指摘しています。

 シリアにおけるIS(イスラム国)掃討作戦での米露協力は有望な分野でありましたが、今のところ協力関係は見られません。ISからモスルを奪還する時の米国の空爆で、文民の犠牲が多く出たことについて、ロシアは米国を厳しく非難しています。INF条約違反の巡航ミサイルの配備、ウクライナでの親露派による武力行使の激化など、米ロ関係の改善に逆行する動きがあります。

 サンクトペテルブルクでのテロがどういう影響をもたらすか、まだわかりませんが、米ロ関係は改善よりも悪化の方向に回転してきており、ここしばらくはその状況が続くと判断しておいて間違いないのではないかと思われます。

  
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