この熱き人々
(iStock.com/Jag_cz)
-
久住有生( 左官職人)
2018/11/20 吉永みち子最高の技術を持ち、全体で最も美しくなるための仕事をするのが、職人。カリスマ左官の父に英才教育を施された久住は、新しい技法と磨いてきた感性で左官の可能性を広げた。妥協せず最高のものを目指す職人魂が滑らかな土壁に宿っている。
-
村瀬弘行( デザイナー)
2018/10/25 吉永みち子日本とドイツ。伝統工芸と現代アート。日本を飛び出した青年が出会ったのは、生まれ育った有松の面白さとベネチアで見たアートの衝撃だった。使い手を意識し風景や生活になじむデザインを送り出す。有松絞りの技術は新しい風に乗って可能性を広げていく。
-
南谷真鈴(探検家)
2018/09/25 吉永みち子エクスプローラー、探検家。南谷真鈴は日本人最年少でエベレスト登頂などの探険家グランドスラムを達成した。海外で育ち、アイデンティティークライシスに陥ったとき見出した山頂へ、自身に向き合うために登る。さらなる自分を目指す探検は終わらない。
-
土畑重人(昆虫生態学研究者)
2018/08/23 吉永みち子働かないアリと、より多く働くアリ。巣を崩壊にまで追い込む存在を駆逐せず、その分働く彼らは過労死してしまう。衝撃的なアリの社会に人が気づいていない仕組みがあるかもしれない。応用科学の世界で尽きない探究心と愛を持って、研究者は謎に挑む。
-
堀部安嗣(建築家)
2018/07/23 吉永みち子堀部の基礎は人の記憶と身体とともにある建物。そのコンセプトと瀬戸内海の空・海・風土が合わさって生まれた客船が今人気を集めているガンツウだ。自らが受動的と評する造り方は、出会いや風景、引き継がれるいとなみを包括し、穏やかな海を進む。
-
農口尚彦(杜氏)
2018/06/25 吉永みち子その道、70年。2015年に引退するも、家族の反対を押し切り85歳で現場復帰をした生粋の杜氏魂。飲む人が求める味を追求し、若い世代に”酒造りへの夢”の大切さを背中で見せる。先を見据えた新たしい挑戦をし続ける原動力は、飲み手の感動へと繋がっ…
-
米田 肇(シェフ)
2018/05/22 吉永みち子美術部に数学、大学では格闘技にはまり、卒業後はエンジニアとして電子部品の設計。三ツ星のシェフとしては珍しい道を歩んでいるが、全ての分野が彼の料理へと繋がっている。無限の世界の先端に立ち、料理という指揮を振る。進化の果てに興味が尽きない。
-
佐野末四郎 (船大工)
2018/04/23 吉永みち子川並鳶や木遣り歌、広がる海へ繰り出す漁師。深川の旧木場では江戸船大工が漁師の命を守る覚悟で誇り高く生きていた。移転した新木場にかつての賑わいはない。技術の粋を集めた木製の自転車を生み出す9代目の眼差しは遠く愛する船へと寄せられる。
-
滝田洋二郎(映画監督)
2018/03/21 吉永みち子まだ見ぬ作品を求めハプニングも掛け算に走り続ける男・滝田洋二郎。初めての一般映画の評価はカンヌ、また「おくりびと」の評価も海外だった。次回作を越えるべく撮り続ける姿勢は、世界中の滝田ファンの想いと相乗して新たな作品を生み出していく。
-
小松美羽(アーティスト)
2018/02/21 吉永みち子圧倒的な迫力が画面を突き抜けて迫ってくる。プリミティブなエネルギーを感じさせる作品は”美しすぎる”画家を媒体として指先から現れる。幼い頃、不思議な山犬に導かれて歩いた道は、彼女の人生を貫く起点だったのかもしれない。
-
野村萬斎 (狂言師)
2018/01/22 吉永みち子狂言という伝統芸能を”生まれながらにプログラミングされた自分”と自己確立のアイデンティティー。葛藤に折り合いがついたのは5、6年前だが、型を壊さず型を超える狂言師として、今、様々な場に新たな美を拓かせる。
-
田中正人(プロアドベンチャーレーサー)
2017/12/21 吉永みち子試されるのは体力と気力。山川・ジャングル・湖・砂漠に氷河など時に道なき道を行く過酷なレース。自然の中で存在の小ささを実感しチーム戦では内面までも問われる。次々に降りかかる難題を解決し人生を凝縮したようなレースがさらなる高みへと連れて行く。
-
室屋義秀(レッドブル・エアレース・パイロット)
2017/11/20 吉永みち子14人の選手が10G,1000分の一秒差を争うレッドブル・エアレースの中で唯一の日本人パイロットの室屋。2017年のトップを奪取した彼の道のりは幾度か消えかかったが、地を這う努力と根性で歩み続けてきた。集中力と緻密な計算。熱い情熱に冷静な…
-
坂口志文(免疫学研究者)
2017/10/23 吉永みち子免疫学にのめり込んで40年以上。がんや自己免疫疾患治療への応用が期待される制御性T細胞の存在を突き止めた。傍流と言われた地味で地道な研究生活は、一枚に収まらない履歴書に現れているが、自らを信じ続けて開いた道の上で晴れ晴れとした相貌で立つ。
-
松場大吉(石見銀山生活文化研究所会長)
2017/09/20 吉永みち子世界に誇る産出量だった石見銀山。20万人いた周辺住民も約400人に落ち込んだが、夢を持って故郷へ帰った一人の男が1パーセントの理念を持って古の文化に息を吹き込み、未来へと繋げた。確固たる土俵に足をつけ、全国に静かに熱く支持が広がっている。
-
瀬奈じゅん(俳優)
2017/08/21 吉永みち子トップへの道を意識し、ファンのためにも逃げ道を断った。しかし就任前に知らされたのは、組替えと娘役の配役。この試練が退団後の女優人生に影響を与えた。男役・娘役、そして女優。全てを咀嚼し自然体な自分自身で戦う瀬奈の男前な今がある。
-
アラン・ウエスト(絵師)
2017/07/20 吉永みち子ワシントンに生まれ名門カーネギーメロン大学に入学した絵師は、自然の美しさ・力強さを表現できる日本画にたどり着き、今、東京下町・谷中にアトリエを構える。依頼者の花粉を自身が受粉し、作品という実を完成させるその姿勢は、真っ直ぐで一つも迷いがな…
-
佐渡 裕(指揮者)
2017/06/20 吉永みち子「題名のない音楽会」でも知られる佐渡は、現在オーストリアの名門管弦楽団で指揮を振る。指揮者のビジョンと演奏者の気が調和した音楽が聴衆との間に奇跡を生む瞬間、音楽の幸福感が存在する。出会った人々と経験を重ねて、彼の情熱はますます衰えない。
-
築城則子(染織家)
2017/05/22 吉永みち子早稲田大学で能や狂言を学んだ文学少女は装束や色彩に魅せられ、大学を中退。染織研究所を経て織りを学んだ築城が出会ったのは、凛とした経糸が鮮やかな豊前小倉藩の木綿布・小倉織だった。ルールの中で生まれる遊びを基に、伝統の手織りと汎用性への機械織…
-
井山裕太 (囲碁棋士)
2017/04/19 吉永みち子2016年4月に7冠のタイトルを独占した井上裕太は、自らを信じて囲碁を打つ。静静とした中に、ただならない戦闘力と思い切りのよい度胸が秘められている。
|
|