ビジネスのグロバール化と、平均寿命の上昇により勤労年数の長期化が予想される昨今、他者に差をつける資格として、ある資格が注目されつつある。
それが、「米国公認会計士(USCPA)」だ。
「公認会計士」と聞くと、難関資格であるイメージが先行してしまいがちだが、この「米国公認会計士(USCPA)」には、社会人が取得するメリット、そして今の時代に見合う価値が十分にある。
今回は、米国公認会計士について解説していきたい。
「実務での成長」を見越している資格試験
米国公認会計士は、米国各州が認定する公認会計士資格である。
取得をするとアメリカ以外でも、カナダ、オーストラリア、香港など相互承認されている国で、会計士として活躍することができる。もちろん日本国内でも資格を活用することは可能だ。
この資格の面白いところは、その試験性質にある。
日本の公認会計士試験が、「取得したら戦力」になることを想定して構成されているのに比べ、米国公認会計士試験では「取得してから実践力を身につける」ことを想定して構成されている。
そのため、試験では基本的知識を問うに留まり、その後の実務の場での成長が期待される。
日本の公認会計士試験が、専門的な実務に関する知識まで問うのに対し、この点は大きな違いでもある。
米国公認会計士試験は、基礎的な知識さえしっかり身につけば、スタートに立てるまでの時間を、通常の日本国家資格よりも大幅に短縮できるのだ。
試験は基本的な内容ではあるものの、求められる知識は、日本のものに比べて幅広い。
もちろんメインは会計の知識を問う試験ではあるのだが、それに加えて、法律やIT、戦略立案などの会計以外の基礎知識も問われるのだ。
様々な知識を総合的に学べる点では、中小企業診断士の色合いを含んでいると言っても良いだろう。
そのため、米国公認会計士に合格すると、「会計知識」に加え、「網羅的なビジネス能力」、また試験は全て英語で行われるため「英語力」も評価される傾向にある。
取得後に拓ける道
取得後は、海外での活躍ももちろん可能だが、日本での転職活動にも有効だ。20代30代であれば、畑違いの職種から、監査法人への転職も十分可能である。
現在、監査法人は人手不足に陥っており、また国際的な案件の増加により、米国公認会計士の需要が広がっている背景がある。
40代以上の場合にも、転職で武器になることは変わりないし、社内でのキャリアアップに有効だ。
経理部門であれば他社員との差別化により昇進対象になるだろうし、海外案件に携われる可能性が増す。また他部門で働いている場合にも、語学力と会計知識が評価され、海外駐在への道が拓けたりもする。
これからビジネスのグローバル化が進む中で、米国公認会計士は英語力・会計知識の2つが証明できる、言わば一石二鳥の資格なのである。