「公認会計士」が学生向けなら、「米国公認会計士」は社会人向け
続いては、日本の公認会計士試験と米国公認会計士試験を比べてみる。
日本の公認会計士は、日本三大国家資格の一つであり、医師・弁護士と並び、難易度の高さでも有名だ。
勉強時間は3,000~5,000時間といわれ、合格率は10%前後と低く、合格者の過半数が学生のうちから専門予備校に通うと言われている。
このような特徴を聞くと、「学生のうちにとる資格」と考える方も多いかもしれない。
一方、米国公認会計士の勉強時間は1500時間前後といわれ、全4科目を1科目ごとに区切って受験することもできる。
各科目の日本居住者の合格率は30%前後であり、試験日も年に4回と多いため、社会人でも勉強スケジュールを立てやすい(試験日に関してはもう少し規定があるのだが、記事の趣旨とずれてくるのでここでは割愛する)。
また、ビジネスの総合的な部分も問われるため、学生よりも社会経験を積んでいる方のほうが勉強時間の削減にもつながる側面もある。
これらを総合してみると、「社会人に向いている資格」と言えるのではないだろうか。
英語が苦手な人でも取得できるのか?
「米国公認会計士に興味はあるものの、英語に自信がない」という方も、いるのではないだろうか。
確かに、米国公認会計士の試験に英語力は必須だ。
だが、試験に通るだけであれば、「読む能力」を育むことができれば、合格可能である。
科目によっては記述もあるが、聞く必要や話す必要はない。
このリーディング能力は、日本人が最も得意としているところではないだろうか。
幸いなことに、リーディング能力は試験勉強をすることにより自然に育むことができる。
最初の一周目はしんどくても、それを乗り越えれば二周目三周目は覚えている単語が増え、ぐんと理解が深まる。ライティングできる単語の量も増えてくる。
実際に「英語はそんなに得意じゃなかったけど、受かった」という方も私の周りにはいる。
ただし、英語に苦手意識がある方は、勉強のモチベーションが続かない可能性はある。そこは注意が必要であるし、資格取得後に、国外で活躍したり海外案件に携わりたい方は、「総合的な英語力」が後々必要となるので、どこまで英語力を高めるかの計画的な戦略が必要である。
これからの資格試験
今までの日本の資格試験は、「知識」を重視し、取得までの時間が比較的長いことが特徴であった。しかし、これからのグローバル社会では、「資格取得時の知識」のみで戦うのではなく、より素早く社会の変化に対応できる、柔軟性と発想力、応用力が備わった人物が求められる。
そのように考えると、近い未来、日本でもアメリカ式の「資格試験は入り口」という形式の資格が増えるのかもしれない。
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