2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年8月7日

 ヴィクター・チャとジェイク・サリバンが連名で、7月5日付けワシントン・ポスト紙に「北朝鮮に対し中国カードを使う正しいやり方」との論説を寄せ、中国に何をしてもらうのがよいかを論じています。論説の要旨は、次の通りです。

(iStock.com/Ylivdesign/fabidesign/asantosg/Pcanzo/venimo)

 7月4日の北朝鮮のICBM実験はトランプ政権に難しい問題を提起する。戦争でも米国を攻撃し得る核の北との共存でもない道を探す必要がある。

 北との古い合意を生き返らせようとするのは無駄である。中国は北に意味ある圧力をかけない。そして軍事攻撃は数百万の死傷者を出す全面戦争になる。外交の新しいアプローチが必要である。

 これは中国カードを使うことを意味するが、新たな使い方が必要だ。中国を対北交渉の中心の一部にしなければならない。中国が、北朝鮮とその核・ミサイル計画の凍結・巻き戻しの合意を行い、それに関連する費用も負担するようにすべきである。

 一番いい選択肢は中国が米韓と協力し、北朝鮮に新しい指導部を作ること、次の選択肢は中国が北との貿易をやめるか、少なくとも深刻に制限することだが、いずれも近い将来起こりえない。

 従って、我々は圧力強化をしつつ、劇的ではないアメとムチの外交を行う以外ない。

 中国が北朝鮮問題で何らかの役割を果たすには、費用を支払うべきである。基本的な取引は、北の計画を制約させる代わりに中国が北への資金提供と安全の保障を与えることである。中国は北の石炭への支払のみならず、北の合意順守にも費用を払うと言うことである。

 中国と北の凍結・巻き戻し合意では、IAEAに順守を監視させる。もし北がだました場合、中国はお金を払ったのに何も受け取っていないことになる。論理的には経済的利益供与は保留され、順守が再開されることになる。

 もちろん、中国は北の政権への資金提供をいずれにせよ、続けるかもしれない。北朝鮮はこういう取引を最初から拒否するかもしれない。しかし、これらのシナリオは現状より状況を悪化させない。我々の立場を強くすることにもなりうる。中国と北の関係悪化は中国に我々とその同盟国にその他の選択肢について協力する気にさせる可能性がある。

 経済的テコを使うことにずっと消極的であった中国がこの計画に同意し得る理由は、中国は現在の危機から外交的に逃れたいと思っていることである。習近平は党大会のある今年、トランプといい関係を維持したいし、金正恩に対する中国の不満は、金正恩の家族や中国に近い人の処刑の後、大きくなっている。

 それに我々は重要なムチも持つ。我々は先週の財務省による中国の銀行への制裁に加え、北と取引をする中国企業に広範な第2次制裁を課しうる。


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