2024年12月3日(火)

古希バックパッカー海外放浪記

2018年2月25日

(2016.10.10~12.23 75日間 総費用21万7千円〈航空券含む〉)

華僑とはなんだろうか

 筆者の商社時代の後輩I氏は、シンガポールやジャカルタ等に駐在し中国語を習得。40代で商社退職後は15年以上中国ビジネスをしている中国通である。筆者がKK滞在中に現地の華僑についてメールで見聞録を送ったところ、I氏より華僑社会に関する考察をまとめた論稿を頂いた。

KLのチャイナタウンの1950年代創業のお粥専門店の4代目オーナー

 ご参考までに以下、抜粋引用させて頂く。

(1)大量出国の背景

 19世紀に入ってからの清朝の統治力低下と太平天国の乱、義和団事件などの争乱、欧州列強の侵略、さらには凶作もあり、国内産業、特に農業が疲弊。農業生産性が低かった中国南部(福建省、広東省など)では食糧危機となり大量の窮民が海外渡航した。清朝末期の後、日中戦争、国共内戦混乱期にも大量の難民が出国している。

 中国南部(華南)では中央集権封建制度を支えていた儒教思想よりも個人の自由・独立を重視する道教が広く信仰されており中国(中華)への帰属意識が低い。中国人には歴史的に海外進出を厭い、中華思想(中国以外は蛮夷として蔑視)がある。しかし広東・福建では「四海為家」(四海を家と為す)という思想があり海外進出には抵抗がなかった。

(2)華僑社会の組織

 世界各地のチャイナタウンにはコミュニティーとしての共通機能がある。同郷人の互助会組織である『華僑会館』は冠婚葬祭での協力、新規移住者への就職斡旋、生活費前貸しなどを行う。子弟教育のための『中華学校』(僑校)、『中華新聞』(「僑報」と呼ばれるミニコミ誌)、『寺院』(その多くが現世利益を重視する道教。特に商売の神様が好んで祀られた)がある。

 中華新聞「僑報」はあくまで同郷人と本国の話題に限定され、地元の政治には口を挟まない配慮がなされた(「莫談政治」=政治を語らない)。

(3)華僑の根本思想

■落地生根=外国に出稼ぎ(移民)し、艱難辛苦の末に地元に根付くという、華僑の真骨頂を示した思想。

■白手起家=裸一貫から立身し、財をなすこと。華僑のみならず、中国人一般が好み、「鶏頭牛後」と並んで人気のある思想でもある。

■衣錦回郷=故郷に錦を飾る。海外で財を成した華僑は故郷に凱旋し、故郷に寄付や投資をする。福建省や広東省の田舎で不釣り合いに立派な学校や病院を見かけるが、これらは華僑の寄付による。


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