朝ごはんの時間を決めて目覚めのホルモンを活性化
まず大切なことは、朝ごはんの開始時刻を子どもと相談して決めておくことです。
よほど目覚めのいい子でしたら、朝起きてきたときに「朝ごはんは7時からでいい?」と聞くだけで大丈夫ですが、ほとんどの子は寝起きすぐに時間を決めるのは難しいでしょうから、前日夜寝る前に約束しておく方がいいでしょうね。
「明日も朝6時半起きでいい?」
「じゃ、朝ごはんは7時からにするよ?」
と、子どもに尋ねながら「うん、分かった」「いいよ」「大丈夫」といった返事が返ってくるのを待って決めていきます。
朝起きる時間も、ご飯の時間も、寝る前に先に決めておくかどうかで翌日の動きが全く違ってきます。
いつもは体を揺すってもなかなか起きない子が、遠足の日や運動会の日は自分からすっと起きてくるというのは良くあることです。翌日にお楽しみのイベントがあると、「早く明日にならないかな」と思いながら眠るので、脳に起きる時間がインプットされるのですね。
人間の体はよく出来たものでして、「○時に起きるぞ」と意識しておくと、目覚めようとする1時間前になると脳の下垂体から目覚めのホルモン(副腎皮質刺激ホルモン)が分泌されるのです。
さらに、睡眠を維持しようとする脳波の活動が弱まり、起床の30分前になると脳(右前頭前野)の血流量が増加します。そして自律神経系(心拍、血圧)の活動も活発化するそうです。(独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所 池田大樹研究員による)
体が起きる準備を着々と整えてくれるというわけです。
起きる時間を意識してから寝ることがポイントなので、「絶対に起きるぞ」などと強く念じる必要はないそうです。
「朝6時半起きでいい?」
「うん分かった、6時半ね」
という会話だけでも、目覚めをよくする効果があるというわけです。
ご飯で時間を区切ってメリハリ付けを
また、朝ごはんの時間を先に決めておくことで、目が覚めてからの顔を洗う、トイレに行く、着替える、漢字と計算練習といった、朝ご飯前に行うルーティンも動きやすくなります。布団からそのままダイニングテーブルへ移動するような朝ごはんスタートでは、頭が眠ったままご飯を口に運ぶことにもなり兼ねませんが、起きる時間、朝ごはんの時間をそれぞれ区切ることで朝のリズムが生まれてきます。
仕事に出る時間を気にしながら、今日1日の準備に忙しい親にとっても、朝ごはんの時間が先に決まっていることで段取りがつけやすくなります。家を飛び出す直前まで用事をこなそうとするのではなく、朝ごはんの前までに一段落させておく。あれもこれもはできないから、割り切るところは割り切って、1日の準備を終えてしまいます。
そして、親子で食卓を囲みます。
この朝ごはんタイムで一番大切にしたいことは、「ゆっくり落ち着いて」食事をすることです。「朝は1分でも惜しい」という気持ちから、朝ごはんはとにかく早く済ませようとする方がいますが、子どもの自立を育むという視点からは、慌ただしい朝ごはんはお勧めできません。
自然な会話からミーティングが始まる
ゆっくり落ち着いて食事をすれば、会話が自然に生まれます。
「今日は何時間目まであるんだっけ?」
「ママは今日何時に帰ってくるの?」
「そういえば昨日ね、田中くんが面白いこと言ったんだよ」
「これってバター? マーガリン? なんかニュースでやってたけどマーガリンってあまり体に良くないんでしょ?」
など、たわいのない会話が大切です。
一緒に食事をしながら会話することで、親子のリズムが重なり合って、ミーティングしやすい状態が生まれてきます。
心理学で言うところの、ミラーリング効果です。
しかも、たわいのない会話はたいてい「昨日」「今日」の話が中心になるので、「今日の予定」の話にも自然と入っていけます。
会話をしながら食事が進んで、子どもの頭も活動し始めたところで、
「今日はどんな予定にしているの?」
と聞いてみましょう。
「えー分かんない」と返ってきたり、うーんと黙ってしまったりするなら、
予定として意識できていないという状態ですから、一緒に言葉にしてあげるといいですね。
「学校から帰ってくるのは何時だっけ?」と、より答えやすい聞き方に変えてみてください。問いかけて、子ども自身が考えて答えることに意味があるので、答えやすいように聞いてあげるのがポイントです。