感情が動き出すようにイメージさせる
お子さんが今日の自分の過ごし方を答えようとする時、学校から帰ってきた時の家の様子を想像したり、自分の体の疲れ具合を感じたり、先生から言われそうなことを想像したりします。そして、宿題に取り掛かったり、ランドセルを片付けたり、冷蔵庫を開けている自分を想像するでしょう。
自分が実際に動いていることをイメージすると、感情も動きます。
「宿題が多かったら嫌だな、疲れるな」
「おやつのシュークリームが楽しみだな」
「今日は5時間目で帰ってくるからまだ元気な方かな」
といった気持ちが、はっきりと言葉になっているかどうかは子どもによりますが、イメージした行動に伴って感情が動きます。
感情が動くので、予定を考えている時、イメージしている時の子どもの表情をそれとなく観察していると、表情が緩んだり、口元が少しへの字になったりしていることに気づけるでしょう。
そんな感情を伴った「今日の予定」は、実行できる可能性がかなり高まります。
実際に自分が行動したことをイメージしているからです。
ですから、予定を親が与えてしまうのではなくて、問いかけながら子ども自身に想像させたいのです。
そのためには、ゆっくり落ち着いた朝ごはんタイムにすることがポイントなのですね。
さて、お子さんの帰宅後の過ごし方で意識しておきたい項目は、次の5つではないでしょうか。
1.学校の宿題
2.習い事や塾通いの時間
3.習い事や塾の宿題、練習
4.遊びの時間
5.おやつタイム
習い事や塾通いについては、開始時刻が決まっているので最初からお子さんも「予定」として意識できているでしょうが、他の項目については「予定」とまでは意識できていないかもしれません。
「予定」にまつわる大人の感覚と子どもの感覚の違い
例えば「おやつタイム」ですが、「学校から帰ってきたら、まずおやつを食べる」ということになっているとしましょう。さて、おやつを食べ終わるのは何時何分でしょうか? お子さんは「おやつ終了時刻」を決めているでしょうか?
学校からの帰宅時刻はだいたい分かるので、何時からおやつを食べ始めるのかも分かるはず。のんびりしたとしてもせいぜい20分ぐらいだから、15時40分にはおやつタイムは終了だな。というのは大人の感覚です。
学校から帰ってくる ⇒15時10分ぐらいだ
↓
おやつを食べる ⇒食べ始めるのは15時20分ぐらいだ
↓
食べ終わるのは15時40分だ
ところが、子どもの頭の中ではそうはなっていません。
頭の中にあるのは
という行動の組み合わせだけです。「時間」がセットにはなっていないのです。
ですから、「おやつを食べたら学校の宿題を始めるのよ」と親が伝えて、子どもが「うん、分かった」と返事をしていたのに、17時になっても宿題を開始していないということが起きるわけです。
子どもはサボっているんじゃないんです!
親の側は、おやつを食べ終わるのは15時40分ごろだから、当然、遅くとも16時には宿題を始めるだろうと考えます。しかし子どもは、「おやつの『後に』宿題をする」ことは頭に入っていますが、何時になったら始めるかは決めていません。時計の表示が16時10分になっていたとしても、「16時10分か」と思うだけです。「あ、宿題を始める時刻が過ぎている!」とは思わないのです。分かってあげて欲しいのは、17時になっても宿題に手をつけていない子だって、宿題はしようとは思っているということです。サボっているつもりもないのです。16時に始めることも、17時30分に始めることも、19時に始めるとしても、おやつの「後に」することに変わりはないのですから。
仕事から帰ってきて手付かずの宿題を見たときに、「なんでまだ宿題やってないの!」と叱ると「だからこれからやるんじゃん! 分かってるよ!」とお子さんが怒って言い返してくる時、逆ギレしているように見えると思うのですが、実は本当に「分かっている」のかもしれないのです。やる気はあるけれど、ただ開始時刻を決めていなかっただけ。
ですから、朝ごはんタイムに「開始時刻」と「終了時刻」を意識させてあげるだけでお子さんの行動は大きく変わってきます。